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取引単位営業利益法を機能が単純な方に適用する理由 | 押方移転価格会計事務所
- 2016.04.06
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現在、主流となっている取引単位営業利益法(TNMM)は、親子のうち果たしている機能が単純な方に適用します。
果たしている機能とは、製造、販売、在庫、マーケティングといった企業活動のことです。
海外子会社の方が人数も少なく機能が単純なケースが多いですが、親会社は仕入部品を流しているだけで、組み立ては海外子会社で行っているという場合は、その取引だけを見れば親会社の方が機能が単純ということもありえます。「取引単位」とはそういう意味です。
では、なぜ機能が単純な方に適用するのでしょうか。
それは、比較対象企業の選定を容易にするためです。
複雑な機能を持ったユニークな企業の比較対象企業を見つけることは困難です。一方、一般的な販売活動を行っている企業や、一般的な製造活動を行っている企業であれば世の中にたくさんありますので、業種、地域を絞りこめば比較可能性の高い企業を見い出すことができます。
機能が単純な側の営業利益率を比較対象企業と比較して、一定のレンジ内に収まっていれば、不自然な所得移転は起きていないと判断できるということです。
逆の言い方をすると、単純な機能しか果たしていないのに、レンジ内に収まっていない場合は「何か理由がある」と疑われることになります。
単純な販売活動をしている比較対象企業の営業利益率の平均が3%なのに、海外子会社の営業利益率が15%もある場合、その子会社には超過収益をもたらす「何か」があるか、特殊な要因の単発利益が上がっているか、もしくは不当な所得移転が起きているかのどれかであると判断できます。(ちなみに、この「何か」のことを、移転価格の世界では重要な無形資産や独自の機能と呼びます。)
このように取引単位営業利益法は基本的には、重要な無形資産や独自の機能を持っておらず、単純な機能を果たしている企業に適用します。取引単位営業利益法を適用できない場合は、残余利益分割法などの別の方法を検討しなければなりません。
関連記事:「海外子会社との取引価格の妥当性をどのように説明すればいいのか」
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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