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機能リスク分析の書き方しだいで移転価格文書は決まる | 押方移転価格会計事務所
- 2018.08.01
- 移転価格文書化
※この記事を読む前に「国外関連取引は5種類に分類して概要を記載する」をご確認下さい。
移転価格文書の中核部分
機能リスク分析は、各当事者が果たしている機能と負っているリスクを記載するパートです。
機能リスク分析の結果を根拠に、最適な独立企業間価格計算方法を決定しますので非常に重要なパートといえます。
また比較対象企業を選定する際も、同じような機能及びリスクを負担している企業に比較可能性を求めますので、その意味でもこのパートの記載内容は重要です。
ですが重要と言われても、初めて文書化に取り組む場合は、どのような方向性を持って記載すればいいのかわからないと思います。
そこでまずは、機能リスク分析に関わる重要な前提をご理解下さい。
機能とリスクが限定的な企業は一定の利益率レンジに収まるべき
その前提とは、「高度な機能を担っており、高いリスクも負っている企業が高収益であっても不自然はないが、単純な機能を果たしているだけで限定的なリスクしか負っていない企業が高収益であったり赤字になったりするのは不自然」という考え方です。
例えば、親会社の指示に従って受託生産しているだけで研究開発や販売マーケティング活動は行っておらず、在庫リスク等もほとんど負っていない海外子会社があるとします。
このような会社が業界平均を大きく上回る利益を上げるのは不自然だといえます。
何らかの特殊要因でその年だけ利益が多いのであれば説明がつきますが、そうでないのであれば、親会社の製品購入価格が高すぎるのではないか、親会社は適切なロイヤリティーを受け取るべきではないかという疑念を持たれても不思議はありません。
反対に、このような製造子会社が毎期大きな赤字を計上しているのも不自然だと考えます。
この場合は現地の税務当局が、親会社の製品購入価格が安すぎるのではないか、親会社に払っているロイヤリティーに対価性はあるのかという疑念を持つ可能性があります。
このようなせめぎ合いの結果、機能とリスクが限定的な場合は一定の利益率レンジ内に収まるべきという方向に向かいます。
各当事者が果たしている機能とリスクを明確にする
機能リスク分析の書き方について決まったフォーマットはありません。
各機能とリスクが親会社と子会社のどちらに帰属するのかをわかりやすく記載し、超過収益をもたらす重要な無形資産が認められれば、その帰属についても記載します。
機能の記載
例えば下記のように分類し、親会社及び子会社が果たしている機能をそれぞれ記載します。
・研究開発活動
・製造活動
・購買活動
・販売マーケティング活動
リスクの記載
例えば下記のように分類し、親会社及び子会社が負っているリスクをそれぞれ記載します。
・在庫リスク
・設備投資リスク
・研究開発リスク
・為替リスク
・信用リスク
当然事実を記載するのですが、書き方には注意も必要です。
機能リスク分析の結果を踏まえて独立企業間価格算定方法を選ぶことになりますので、取引単位営業利益法(TNMM)を海外子会社サイドに適用するのであれば、「子会社の方が果たしている機能は単純」という結論になるような記載を心がけた方がいいでしょう。
関連記事:「取引単位営業利益法を機能が単純な方に適用する理由」
次の記事に続く→「移転価格算定方法のわかりやすい選び方」
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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