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取引単位営業利益法は基本三法より適用が容易 | 押方移転価格会計事務所
- 2016.06.10
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取引単位営業利益法は、現在主流の移転価格算定方法
取引単位営業利益法は、親子間取引における親会社または子会社の営業利益率を、類似企業の営業利益率と比較して、そのレンジ内に収まっていれば移転価格上問題ないと結論づける方法であり、現在主流の移転価格算定方法となっています。
なぜ取引単位営業利益法を適用する企業が多いのかというと、比較対象となる企業の選定要件が他の方法よりも緩いからです。
取引単位営業利益法は営業利益ベースで他の企業と比較しますが、他の方法、例えば再販売価格基準法の場合は、売上総利益ベースで比較します。
営業利益は売上総利益から販管費をマイナスした金額ですので、販管費(=営業経費)を考慮した後の金額ということになります。営業活動による違いを吸収した後の金額で比較するので、比較対象となる企業の幅が大きく広がるのです。
例を挙げて説明します
日本の親会社から電子部品を輸入し、現地企業に再販売しているタイの子会社Aがあるとします。そしてA社の売上総利益率は20%であるとします。
基本三法のひとつである再販売価格基準法を適用する場合、同じような商品を取り扱っている現地企業とA社の売上総利益率を比較することになります。ここで比較対象候補として見つけてきた企業の売上総利益率が10%だったとします。
20%と10%を単純に比較するとA社は儲け過ぎにみえますが、果たしている役割(機能)はどうでしょうか。
比較対象候補となった企業は、A社と同様の商品を扱ってはいるものの、既に決められた販売ルートを持っており、営業スタッフも抱えず注文に応じて伝票を通すだけで、在庫リスクさえも負っていないかもしれません。
一方A社は営業スタッフを多数抱え、広告宣伝も行い、在庫リスクも負って販売活動を行っているかもしれません。
同じ商品を取り扱っていても、ただ伝票を通すだけの場合と販売にかかるリスクを負っている場合とでは、必要となる粗利益は大きく違ってきます。
伝票を通すだけなら10%の粗利で十分という商品でも、営業マンを雇い、広告宣伝を行い、在庫リスクも負っている場合は、20%でも足りないということになってきます。
そのため売上総利益ベースで比較対象企業を探す場合、 ・在庫リスクを負っているか? ・営業マンを多く抱えているか? ・独占販売権を持っているか? といった販売活動における機能とリスクについて、突っ込んだ調査をしないと比較対象に相応しいかどうか判断できないのです。
取引単位営業利益法は、販管費が「クッション」になる
一方、取引単位営業利益法の場合は営業利益ベースでの比較ですので、
・粗利が低い商品→営業経費も少ない→一定の営業利益は残る
・粗利が高い商品→営業経費も多くかかる→営業利益は一定程度しか残らない
というように粗利の多寡を営業経費が調整し、類似業種であれば一定のレンジの営業利益率に落ち着くことが想定されます。
そのため売上総利益率ベースの時ほどの厳密な比較可能性は要求されず、比較対象企業の選定がしやすいのです。
このような理由で取引単位営業利益法が現在の主流の計算方法となっています。 取引単位営業利益法は2004年の税制改正で導入された新しい計算方法です。基本三法の要件を満たす比較対象取引の選定が困難であったことが導入された理由のひとつです。 今後もしばらくは、この方法が主流であり続けるのではないでしょうか。
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