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ベトナムの移転価格リスクを調査 | 押方移転価格会計事務所

 

【2016年6月30日追記】

チャイナプラスワンの候補先として注目のベトナム

主にメーカーが中国の次の投資先として、注目しているベトナム。

近年、成長率は鈍化傾向にありますが、為替レートが比較的安定し、低賃金で質の高い労働力を求めて多くの日系企業が進出しています。

ベトナムに製造子会社を設立し、日本から部品を供給したり完成品を買い上げるといった親子間貿易も行われていますし、親会社から出向者を送ったり、出張支援を行うこともあります。

そこには当然、移転価格リスク、海外寄付金リスクが存在することになります。

現地のリアルな状況を知っておきたいと思いましたので、今月(2016年6月)、ベトナムのハノイに出張し現地のコンサルタントと日本企業の進出状況、移転価格税制を含む税務調査の執行状況などについてヒアリングをしてきます。

帰国後、ヒアリングの内容をこの記事に追記しますので、ベトナムに関心がある方はぜひご確認下さい。

【2016年6月30日追記】

ベトナムに進出する日本企業の数はやはり増えており、現地で働く日本人に対する労働ビザの発券枚数は昨年初めて10万枚を超えたそうです。

チャイナプラスワンとして注目を集めている証拠だと思いますが、公務員への賄賂のような腐敗も残っており、人間関係がないとうまくビジネスが回らない面があることも事実のようです。

税務調査において、近年最も金額が大きいのは、EPE(輸出加工企業)と呼ばれる企業に対して、実在庫と税関在庫の差額を追徴するケースのようですが、今後は移転価格調査における棚卸資産取引からの追徴の増加が予想されます。

現在、日本の国税当局がベトナムの国税当局に対して移転価格調査のやり方を指導しているからです。

これまで移転価格調査の方法をよく知らなかったベトナムの税務当局がノウハウを蓄積する数年後には、文書化を行っていない企業(特に日本企業)を中心に、推定課税による追徴が相次ぐことが予想されます。

しかしながら、考え方によれば日本の当局の考え方が伝わっているのですから、ベトナムにおける移転価格対策は日本企業にとって理解しやすいものになるはずです。

ベトナムに現地法人を持つ企業の方は、今のうちにベトナム側における移転価格文書の整備を初めておくことが望ましいのではないでしょうか。【追記部分終了】

ベトナムの移転価格税制のポイント

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ベトナムの移転価格税制のポイントを記載しておきます。

ベトナムのルールも基本的にはOECDガイドラインに沿って決められていますので、大まかには日本と同じです。

ですが、①出資比率20%以上で関連者とみなされる②国内関連者との取引も移転価格税制の対象となるという点が日本と大きく異なります。

日本企業が30%出資しているベトナムの子会社がある場合、日本のルールでは国外関連者に該当しませんが、ベトナムのルールでは関連者に該当することになります。

移転価格税制に対する対処法としては、文書化が現実的です。2013年に事前確認制度(APA)も制度化されましたが、費用面を考えると中堅企業には向いていないといえるでしょう。

確定申告時に所定の様式に記載して提出することに加え、移転価格文書として、移転価格ポリシーや関連者取引の概況を記載した資料を準備しておき、税務当局の要請があった場合は30日以内に提出することが義務づけられています。

中小企業のベトナム進出が増えている

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ベトナムに進出する企業も中小企業が多くなってきているようです。

海外子会社への出張旅費の否認や、海外出向者の人件費負担の否認などは、会社規模に関係なく対策が必要です。

たった1人の海外出張旅費でも、過去数年間にさかのぼって寄付金として認定されてしまうと容易に数百万円の追徴となります。

親子間の棚卸資産取引にかから移転価格リスクだけでなく、このような寄付金リスクについても現地でヒアリングをしてきます。

<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)

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