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小型化する移転価格調査 | 押方移転価格会計事務所

移転価格調査 小型化

移転価格は大企業だけの問題と考えている方も多いのではないでしょうか。

新聞記事等で、「○○株式会社が海外子会社との取引で、△△億円の申告もれを指摘され、追徴税××億円を納付!」などと書かれているのを見ると、「移転価格は大企業の問題であって自分たちには関係ない」と感じてしまう方も多いと思います。

確かにこれまで移転価格に対する税務調査は大企業メインで行われてきました。

ですが、それは過去のことになりつつあります。移転価格調査で痛い目をみた大企業は、この10年で移転価格対策をしっかりと固めてきました。最近では裁判で国が負けるケースも増えています。大企業の対策が一巡したため、調査の対象は確実に中堅・中小企業に向かっています。

国税庁のホームページから、移転価格調査によって追徴を受けた企業数と金額の推移をまとめてみました。

<移転価格調査による追徴件数と追徴総額>

  • 平成23年 追徴件数182件 追徴総額837億円 平均4.5億円
  • 平成24年 追徴件数222件 追徴総額974億円 平均4.3億円
  • 平成25年 追徴件数170件 追徴総額537億円 平均3.1億円
  • 平成26年 追徴件数240件 追徴総額178億円 平均0.7億円

このように移転価格による追徴額が少額化していることがわかります。

この傾向は今後も継続すると予測されます。これまで移転価格の調査は国税局(資本金1億円以上の企業を管轄)の移転価格調査官が行ってきましたが、近年その調査官が税務署(資本金1億円以下の企業を管轄)に異動する事例が増えています。税務当局のターゲットが中堅・中小企業に向いている証拠のひとつといえるでしょう。

また移転価格ではなく、海外出張旅費などが寄付金として認定されるケースも増えています。

海外寄付金は移転価格の専門的知識を有していない調査官でも比較的容易に追徴課税することができるからです。

移転価格・海外寄付金はもはや大企業だけの問題ではありません。中堅、中小企業にもしっかりとした対策が求められる時代になりました。移転価格・海外寄付金に対応できてこそのグローバルです。

ぜひ経理部のグローバル対応に取り組みましょう!

関連記事:移転価格調査が実施される売上規模

<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)

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