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押方移転価格会計事務所の移転価格お役立ち情報
文書化する際の留意事項 | 押方移転価格会計事務所
- 2016.05.27
- 移転価格全般
移転価格税制と聞けば、「文書化」というキーワードが浮かんでくると思いますが、単に文書化すればいいというものでもありません。
「そろそろうちも、文書化しないといけないのかな」と考えている企業の方へのメッセージとして、文書化する際に見落としがちなことを2点お伝えします。
注意点その1:移転価格文書は毎年リニューアルが必要
移転価格文書はコンサルタントに依頼して、作成してもらって終わりというものではありません。移転価格分析は原則として毎年行う必要がありますし、移転価格ポリシー(移転価格の決定方針)自体も事業環境の変化に応じて適切に改訂していく必要があります。
事業環境は、毎期変化します。新しく海外子会社が増えることもありますし、全く新しい取引が始まることもあります。移転価格文書に対する理解が不十分のままでは、リニューアルのたびにコンサルタントに依頼しなければならなくなります。
大手税理士法人にコンサルティングを依頼した場合、どうしても丸投げになってしまいがちです。コンサルティングの結果、立派な文書が出来上がってはくるのですが、理論的な背景がわからないまま終わってしまうことが多いのです。
大企業ほどの資金力がない中堅中小企業が、毎期数百万円~1千万円以上ものコンサルタント費用を捻出することは困難です。結果として、移転価格文書は一度作ったきりとなり、3年後5年後には会社の実情と合わなくなってしまうことになりかねません。
文書化を行う際はコンサルタントにいろいろ質問をして、「なぜこのような記述をするのか」という理論的な背景を理解しておくことが重要です。理論的背景さえわかっていれば、翌年度以降は自社で移転価格文書のマイナーチェンジを行うことができます。
注意点その2:海外子会社への寄付金対策がモレる
移転価格文書は、一般的には海外子会社との棚卸資産取引を対象とした文書です。自社にとってベストな移転価格算定方法を選択し、その方法に従って取引価格を決定しているので、海外子会社との棚卸資産取引については問題ないと説明する資料です。
ですが中堅中小企業の場合は棚卸資産取引よりも、海外出張旅費の否認や給与格差補てんの否認といった寄付金項目への対策の方が優先されます。寄付金項目の方が否認がはるかに容易だからです。
棚卸資産取引の移転価格調査の場合、少なくとも半年程度の期間はかかります。税務当局にとっても骨の折れる仕事だということです。一方、海外出張旅費などは「それは子会社への寄付になります」と言えばそれで終わりです。
棚卸資産取引の移転価格文書の作成を始める前に、海外子会社への寄付金対策が完了しているかどうかを検討することが大事です。
①リニューアルがきちんとできるか ②寄付金対策は終わっているか この2点に注意しながら、棚卸資産取引の移転価格文章の作成を行うかどうかを検討するようにしましょう。
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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