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比較対象取引の選定に厳密性を求め過ぎてはいけない | 押方移転価格会計事務所
- 2016.07.27
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親子間取引を独立企業間価格で行っていると説明するために、外部公表データから海外子会社と類似する企業(比較対象企業)を選定してくることが多いのですが、「どの企業が類似企業なの?」と誰もが迷うと思います。
データベースから同業種、同地域の企業を絞り込んでくるところまではいいですが、じゃあ具体的にどの企業が類似企業なのか、というと主観の世界に入ってきます。
比較対象候補となる企業のホームページを確認したりするのですが、それでどこまでわかるか疑問です。利益率に影響を与える要因というものは、ホームページを見たぐらいでわかるような単純なものではないからです。
「取り扱っている製品・商品が自社と全く違う」といったレベルのことはわかりますが、「営業利益率が10%ある理由」などを外部者が説明することは難しいです。
世の中に同じ企業は存在しないのですから、比較対象企業の選定に多大な労力をかけることは不毛だと思います。
比較対象企業の選定は効率的に行おう
比較対象企業の選定にあたっては、データベース会社のデータを購入する方がトータルのコストは下がると思います。海外の企業情報を自力で集めてくるのはハードルが高いからです。また当局が使っているのと同じデーターベースを使うことにより、説明力も確保しやすくなります。
最近は、地域ごと業種ごとにデータベースを個別購入できますので、まずはこのデータベースを取得しましょう。
そこからスクリーニング(絞り込み)をかけるのですが、主観の排除という意味からも定量基準をベースにすべきです。
定量基準とは、「3年連続赤字の企業は除外する」、「どこかの企業の子会社は除外する」といった誰が行っても同じ結果になる基準です。
定量基準で選定された企業の中から、さらに定性基準でスクリーニングを行うのですが、これは主観が入ってきますので、「あまりに違う製品を取り扱っている場合は除外する」といった程度で十分だと思います。
このようにして残った企業には一定の比較可能性があると判断し、その平均利益率の上位25%と下位25%を除外した中心の50%(四分位レンジ)を独立企業間価格レンジとするのであれば、十分な比較可能性が確保されているといっていいでしょう。
理論をいくら並べても移転価格税制が厳密な科学でない以上、絶対的な独立企業間価格を算出することはできませんので、自社にできる範囲のことをしていれば十分です。
中堅企業は移転価格専任者を置くことはできませんので、労力をかけずに移転価格に対応することを目指しましょう。
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<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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