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無形資産のロイヤリティ料率に制限がある場合 | 押方移転価格会計事務所
- 2016.07.29
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ロイヤリティ料率に事実上の上限が設定されている国がある
日本の本社が海外子会社に特許権などの無形資産の使用許諾を与える場合は、使用許諾契約を締結して適切な(=独立企業間価格による)ロイヤリティを受け取る必要があります。
このロイヤリティの料率を何%にするのかは、非常にやっかいな問題です。外部情報から同種の取引の料率を見つけてくることができればいいのですが、通常は難しいです。無形資産というものは独自性があるからこそ価値があるのであって、そもそも比較になじまないからです。
そのため多くの場合は、ロイヤリティを支払った後の海外子会社の営業利益率を検証する方法(取引単位営業利益法に準ずる方法)で料率の妥当性を検証することになりますが、ここで現地政府の規制による問題が生じることがあります。
アジア諸国などにおいては、一定以上の料率のロイヤリティの支払いを認めないことがあるのです。例えばインドネシアでは3%以上のロイヤリティを認めないといった形です。
といって料率を低くしておくと、日本の税務当局から受け取っているロイヤリティが少な過ぎると指摘を受ける可能性があります。
まさに国と国の税金の取り合いですが、この点について考えていきましょう。
比較対象企業に比較可能性があるのか
ロイヤリティ料率が低すぎると指摘される場合、当局が選定してきた比較対象企業の営業利益率との差額を追徴されることになるのですが、それらの企業の比較可能性についてしっかりと確認が必要です。
海外子会社は、法律上あるいは行政指導のような形でロイヤリティ料率について制限を受けているのに、選定されてきた企業にそのような制限がない場合は、比較対象として適切とはいえないからです。
ロイヤリティ料率にも独立企業間原則が適用されます。独立企業間原則とは、海外子会社との取引を第三者間取引と同様の条件で行いなさいというルールです。
ある国でロイヤリティ料率に実質的な制限があり、それが第三者間取引にも適用されている場合、比較対象となる企業もその制限された料率で取引を行っているはずですから、海外子会社が同じ料率を適用しているのであれば、独立企業間原則に準拠しているということができます。
選定されてきた企業の比較可能性について確認が必要といったのは、そういう意味です。
ですがそれ以前に、海外子会社がそのような制限を受けていることを客観的に証明できなければ意味がありませんので、現地当局との交渉過程をエビデンスとして残すといった事前準備は必要です。
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<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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