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移転価格調査と一般法人税調査は「一の調査」として同時に行う | 押方移転価格会計事務所

移転価格調査 一の調査

移転価格税制は、法人税の特別法である租税特別措置法66条の4を根拠条文としますので、法人税の範囲に含まれます。

平成25年の国税通則法の改正以前は、移転価格調査と一般法人税調査は別々に行われてきました。ですが現在は、移転価格税制についても法人税の一部として調査することが原則となっています。(一の調査)

税務調査の際は、調査対象科目や対象期間等について事前通知があることが多いですが、通知書に「法人税」と書かれていれば、通常は移転価格税制についても調査の範囲に含まれます。

わざわざ「移転価格税制を含む法人税」とは書いていませんが、ローカルファイルや切り出し損益の提出依頼があれば移転価格税制についても調査しようとしていることはすぐにわかります。

一の調査として同時に行いますので、例えば、平成27、28、29年度の法人税の調査が終了したということは、同期間の移転価格税制についても調査が終了したことになります。

移転価格税制では最長7年さかのぼることができますが、一度調査が終了した場合は、新たな事実が発見されない限り再調査を行うことは難しいので、企業側にとってはメリットのある改正だったといえます。

移転価格についても調査を行ったことになるが・・

ですが別の見方をすると、調査官は海外子会社がある企業の調査をする場合は、移転価格税制についても一通り調査をしないと税務調査を終了できなくなった(あるいは、しにくくなった)ともいえます。

移転価格税制への対応が不十分な場合、海外子会社の決算書等から所得移転の可能性を判断し、本格的な移転価格調査に移行することも考えられます。

区分同意書の提示により別調査とすることも可能

また最初から本格的な移転価格調査を行う意思がある場合、国税当局は「法人税の調査の区分に係る同意書(区分同意書)」を納税者に提示し、納税者がそれに同意した場合は移転価格調査をその他の法人税調査と区別して実施することができます。

同意するかどうかは企業の任意ですので、調査対応にあたる人員(マンパワー)等を考慮して判断することになります。

<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)

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