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移転価格課税よる新聞報道やニュースが減っている理由 | 押方移転価格会計事務所
- 2017.07.14
- 移転価格全般
「移転価格税制」という言葉を初めて聞いたのは、新聞記事だったという方が多いと思います。誰もが知る有名企業が「海外子会社との取引で○○億円の申告モレ」という記事が頻繁に報道されていた時期がありました。
そのような記事ですが、この数年はあまり見かけなくなった気がすると思います。
大企業の多くが一通りの移転価格対応を終えた
それもそのはずです。大企業が移転価格課税で数十億円~数百億円の追徴課税を受けていたピークの時期は、2004年~2007年ぐらいです。何回も追徴される訳にはいきませんので、大企業はその後の10年間で、移転価格対策をしっかり固めました。
移転価格文書の整備だけでなく、「事前確認」という海外子会社との取引価格について当局と合意する手続きを進めていったのです。
その結果、大企業相手に移転価格調査を行っても、あまり追徴税を取ることが出来なくなってきたのですが、では税務当局内において「移転価格調査に力を入れるのはやめておこう」という方針が出たのでしょうか。
事実はむしろ逆です。調査官の数を増員したり、国税局から税務署に移転価格専門官の異動を行ったりして、中堅企業、税務署管轄企業への移転価格調査を強化しているのです。国税庁から発表されているデータを見ても、移転価格課税を受けた企業の数は増加傾向にあります。
国際課税は全般的に課税強化の方向
移転価格税制は国際課税の一分野です。近年の国際課税関係の税制改正を見てみると、全般的に規制強化の方向で進んでいることがわかります。
・タックスヘイブン対策税制の改正(平成29年度改正)
・移転価格税制における同時文書化義務の導入(平成28年度改正)
・多国籍企業に対するマスターファイル、ローカルファイル、国別報告書の提出義務化(平成28年度改正)
・非居住者の金融口座情報の報告制度の整備(平成27年度改正)
・国外転出時課税制度の創設(平成27年度改正)
・国外財産調書制度の創設(平成24年度改正)
このような日本国内の税制改正に加え、アジアを始めとする海外子会社側でも移転価格税制に対する法規則の整備や税務執行の強化が行われています。移転価格税制を含む国際課税の分野にしっかり対応していくことは、海外進出企業にとって必須の時代になったといるでしょう。
中堅企業への移転価格調査がメインになってきている
大企業が対策を固めたため、新聞を賑わすような高額な移転価格課税は少なくなりましたが、今後も中堅規模の企業や地方の企業を中心に、数千万円~数億円規模の追徴課税が行われ続けると思います。
大企業のように多額の予算や人員を割くことができない中堅企業は、移転価格対応のノウハウを学び、自分達で移転価格文書(ローカルファイル)を作成・更新できるようになることが最も現実的な方法です。
「移転価格は自社には関係ない」と思わずに、移転価格税制に関する情報を積極的に集めていくことが重要だと思います。
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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