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移転価格対応は管理部門だけでは完結しない | 押方移転価格会計事務所
- 2020.12.09
- 移転価格全般
移転価格税制は法人税法の範ちゅうですので、社内における担当部門は基本的には経理部などの管理部門になります。ですが管理部門以外の部署にも関わりが出てくる点が特徴的です。
移転価格問題が生じている場合は、海外子会社との取引価格やロイヤリティ料率を変更する、海外出張旅費を請求するように業務フローを変える、といった改善策を取る必要があります。
これは管理部門だけで完結する問題ではなく、本社の経営陣を始め、営業部門、技術部門、子会社の責任者等の協力がないと実現できないことです。
全社理解を得ないと長期的な対応はできない
管理部門だけで対応しようとすると、1年限りであれば何とか説明がついたとしても、長期的には無理が生じる可能性があります。
例えば移転価格計算方法として海外子会社を検証対象とする取引単位営業利益法を採用しており、海外子会社の営業利益率が独立企業間価格レンジ内に収まっていないとします。
このような場合、その年限りの異常値(特殊要因)があったとして、その異常値を排除すればレンジ内に収まっていると説明しているローカルファイルをみかけることがあります。
異常値を排除すれば独立企業間価格であったとする説明自体は間違いではありませんが、そのローカルファイルが本社の管理部門が勝手に作ったもので、海外子会社などの関連部署がその文書の存在を知らない(あるいは子会社が作成していることを本社が知らない)という状況では不安が残ります。
その年は特殊要因という説明で何とかなったとしても、翌年以降はどうなるかわからないからです。
毎年毎年、特殊要因があるという説明には無理がありますので、ローカルファイルの作成を機に移転価格リスクを低くするための長期的な方針を関係部署全体で検討することが重要です。
関連部門を巻き込むことが重要
そのような考えから当事務所では、関係者を集めた研修会を開催し、全社的コンセンサスを得た上でコンサルティングに取りかかり、コンサルティングの途中で移転価格上の問題がありそうだとわかった場合は、早いタイミングで複数の選択肢を挙げて経営陣に大方針を決めてもらうようにしています。
研修会には追加的効果もあります。メーカーの場合、研修会の後に工場見学もさせてもらいますので、製品のイメージがつかみやすくなり、その後のコンサルティングがスムーズに進むという点です。
外部専門家を入れるにせよ入れないにせよ管理部門だけで完結しようとすると後で苦しむことになりますので、関連部門を巻き込むことを意識しましょう。
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
「移転価格対応に失敗したくない人が最初に読む本」
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