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文書化を検討すべきグループ内部取引額の目安 | 押方移転価格会計事務所

移転価格 取引額 目安 親子間貿易

移転価格税制は海外子会社との取引額を独立企業間価格で行うことを求める税制であり、理論上は親子間貿易の金額が1円でもあれば移転価格税制の適用対象となります。ですがとはいえ、あまりに少額な取引について移転価格文書(ローカルファイル)を用意することは実務的とはいえません。

では親子間貿易額がどれくらいあれば文書化を検討すべきかという話になりますが、個人的には海外子会社との取引額が年間数億円あれば検討する必要があると思っています。

平均追徴税額は1億円を下回っている

国税庁の公表資料によると、移転価格税制の適用による追徴税額の平均は、ここ数年は1億円を下回っています。大企業への移転価格調査が一巡し、主な調査対象が中規模の企業にシフトしていることの現れです。

例えば、海外子会社との実際の取引額が3億円であるとして、独立企業間価格が3.3億円であると認定された場合は3000万円の所得が移転したことになります。

移転価格税制では最長6年さかのぼることができますので、単純計算ですが6年間で1.8億円の所得移転となります。この場合の追徴税額は過少申告加算税等を加えると、約8000万円になり、概ね現在の平均追徴税額と同水準になります。

簡単なシミュレーションですが、ひとつの目安にはなるのではないでしょうか。

「50億円基準」は何なのか

移転価格税制について情報収集をされている方は「50億円」という金額基準を目にしたことがあると思います。これは「同時文書化義務」の金額基準であって、移転価格税制の適用基準ではありません。

同時文書化義務とは、ローカルファイルを確定申告期限までに作成しなければならないという義務です。

親子間貿易の金額(売上と仕入の合計)が50億円以上ある企業には、この同時文書化義務が適用開始となりました。最初の作成期限は2018年の5月末(あるいは6月末)であり、残り1年を切りましたので、国税庁も同時文書化対象企業に対して個別相談や企業訪問を開始しています。

親子間貿易額が50億円未満の場合、確定申告期限までに作成する義務はありませんが、移転価格税制の適用対象ではあるため、税務当局からローカルファイルの提出を求められた場合は提出しなければなりません。

子会社サイドで必要になる場合も

日本サイドのルールはこのようになっていますが、アジアをはじめとする海外子会社サイドにおいてローカルファイルの作成が必要になるケースが増えています。取引規模が比較的小さな企業に対し、同時文書化義務を課す税制改正が始まっているからです。

この時、「日本本社では対応できない」として子会社任せにしている企業も見受けられますが、それは限界があると思います。グループ全体のことを把握しているのは日本本社ですので、日本本社がまとめ役をしないと子会社毎に対応がバラバラになり、グループ内で矛盾や不整合が起きてしまいます。

日系企業なのですから、やはり日本本社がグループ全体の移転価格対応を取りまとめるべきだと思います。

<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)

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