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低税率国にある関連者への移転価格リスクは相対的に高い | 押方移転価格会計事務所
- 2020.02.27
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移転価格税制は支配関係のある関連者間の取引が独立企業間価格と異なる価格で行われた結果、自国の税収が少なくなることを防止するルールです。
海外子会社が日本より重課税国にあろうと軽課税国にあろうと、日本からの所得移転があったと認定されれば更正を受ける可能性があります。
第一義的にはそうなのですが、税務当局が高税率国と低税率国のどちらの国への所得移転をより強く疑うのかというと、やはり低税率国です。
国税庁から発表された「移転価格ガイドブック」のP24に、国税庁が移転価格調査の必要度を判断する時の検討項目が挙げられていますが、その中に「軽課税国の国外関連者に多額の剰余金が計上されること等により、国外関連者に所得が移転していると想定されないか」という一文があります。
「グループ全体の税負担を軽減するために低税率国にある関連者に所得を不当に集中させているのではないか」と当局が考えるのは自然なことだと思います。
低税率国の関連者と取引していればローカルファイルの作成を義務化している国もある
上記と関連する話ですが、インドネシアでは自国より低税率国にある関連者と取引をしていれば金額に関係なくローカルファイルとマスターファイルを作成しなければなりません。
これも低税率国にある関連者との取引を通じて税負担を不当に軽減していないかをモニタリングするためにできたルールです。
金額基準なく同時文書化義務を課すというのは非常に厳しいルールだと思いますが、その国でビジネスをする以上は仕方ありません。
日本に限らず海外においても、自国より低税率国にある関連者との取引は所得移転をより強く疑われると考えておきましょう。
「低税率国」は増えていく傾向
法人税率が何%以下であれば低税率国かという話ですが、現時点では20%がひとつの目安といえるでしょう。
低税率国に不当に所得を集中させることによる租税回避を防止するためのルールである外国子会社合算税制において、租税負担割合(≒法人税率)が20%未満の場合は適用免除になるからです。(「タックスヘイブン税制改正後もトリガー税率は適用免除基準として事実上存続」参照)
現在、世界的に法人税率の引き下げ競争が起きていますので、中には20%を下回って「低税率国の仲間入り」をする国も出てきます。
例えばイギリスの法人税率は段階的に引き下げられており、現在は20%を下回りました。フィリピンも時間をかけて20%まで引き下げていく方針です。インドも引き下げ傾向です。
過度な競争を避けるために「最低法人税率」を導入しようという動きもありますが、導入されたとしても10数%になるようですので、今回の話にはあまり関係はないでしょう。
自社グループが進出している国の法人税率が今後どうなっていくのかは、時々チェックするようにしましょう。
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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