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専門家にローカルファイルの作成を外注することの3つのデメリット | 押方移転価格会計事務所
海外子会社との取引を独立企業間価格で行っていることを説明するためにはローカルファイルを作成することが必要ですが、ローカルファイルの作成をコンサルタントに外注することには下記に挙げる3つのデメリットが存在します。
そのため、ローカルファイルの作成・更新だけでなく日常的な移転価格リスク管理も含め、自力で移転価格税制に対応できる社内体制を整備することが重要です。
デメリット① ノウハウの蓄積が不十分になる
ローカルファイルの作成を外注すると文書作成過程にブラックボックスが生じます。
完成したローカルファイル(移転価格分析報告書)についての説明を受けただけでは理論的背景や実務の細かい部分についての理解が不十分となる可能性が高いです。
税務当局にローカルファイルの内容を説明するのは企業自身なのですから、採用されなかった独立企業間価格算定方法などを含め、しっかりとローカルファイルの中身を理解しておくことが重要です。
デメリット② 年度更新のたびに多額のコストがかかる
ローカルファイルは毎期更新が必要な書類です。ローカルファイルの中身についての理解が不十分な場合、年度更新のたびに外部コンサルタントに依頼せざるを得なくなり、結果的にコスト増となります。
「〇年前に一度ローカルファイル(移転価格文書)を作ったのですが、予算の都合で、その後は放置されていまして・・」というご相談を受けることもあります。
ローカルファイルは1年分だけ作ってもあまり意味がありません。年度更新のことも考えた上で文書化を行いましょう。
デメリット③ 日常対応ができない
ローカルファイルの作成は移転価格対応の一部に過ぎません。
下記のような細々とした日常業務については、外部のコンサルタントがその都度対応することが難しいため、社内に移転価格税制に関するノウハウを蓄積しておくことが重要です。
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<日常的な移転価格対応の例>
- 新しく始まる海外子会社との取引価格の設定
- 商流変更が起きた場合の移転価格リスクの有無の検証
- 利益率レンジからの逸脱が起きそうな場合の対応
- 来期の予算・経営計画に移転価格上のリスクがないか検証
- 親子ローン実行時の通貨及び金利の決定(海外寄付金対策)
- 海外出張旅費が本社負担か子会社負担かを判断(海外寄付金対策)
移転価格税制に自社で対応できるようになろう
上記から明らかな通り、ローカルファイルの作成を外部コンサルタントに依頼するだけでは、移転価格税制に対する問題の根本解決にはなりません。
ローカルファイルの作成を外注するのではなく、移転価格税制及び海外寄付金に対応できる社内体制を整備することが重要です。
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<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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