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インドネシア出張雑感:親会社さえ利益が出ていればいいという考えは危険 | 押方移転価格会計事務所
- 2018.03.12
- 移転価格全般
本社と海外子会社の関係は企業グループによって様々です。
親会社に完全にコントロールされている子会社もあれば、独立色が強い子会社もあります。100%子会社なのか、合弁設立なのかによっても随分様子が違います。
企業グループの中には、「本社さえ儲かっていれば子会社の利益はどうでもいい」という考えを持っている場合もあります。
ですがそのような考え方は、移転価格リスクを高める可能性があります。
調査官の権限が強い国
移転価格税制は国と国との税金の取り合いです。グループ間の利益配分の問題と言い換えてもいいでしょう。
日本本社は利益が出ているのに、海外子会社の利益水準が非常に低い、あるいは赤字という場合、海外子会社サイドの税務当局は利益移転を強く疑います。
自分の国に税金を納めていないのですから、それは自然なことです。
そして移転価格税制には推定課税という伝家の宝刀がありますので、所得移転があると判断された場合、調査官は合法的に追徴課税を行うことができます。
インドネシアは調査官の権限が特に強い国ですので、問答無用で推定課税を行い、「文句があれば裁判を起こして下さい」と言われることもあります。
ローカルファイルを作成していたとしても、その中身をチェックされ、不自然な点についての十分な説明ができなければ、やはり追徴されることになります。
形式的にローカルファイルを作成すればいいのではなく、実際の親子間取引の是正も必要だということです。
赤字は移転価格リスクが高い
海外子会社を検証対象とするTNMMを適用するのであれば、海外子会社サイドの利益が非常に低い(あるいは赤字)という状況は説明がつきにくいです。
日本本社の方が大きなリスクを負担しているという理由で子会社サイドを検証しているのですから、子会社の利益が低すぎるのは筋が通らないのです。
インドネシアの名目GDPは10年後には日本を超え、人口もやがては3億人を突破すると聞きました。
経済大国になると主張も強くなってきます。「インドネシアに法人税を納めないなら出ていってくれて構わない」という感じになってきているのです。
グループの経営計画、利益配分を考える時は移転価格リスクも検討材料のひとつに加えることが必要だと思います。
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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