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海外子会社への出向者に支払う給与較差補填金は源泉徴収不要 | 押方移転価格会計事務所
- 2021.03.17
- 海外寄附金
海外子会社に出向者を送る場合、出向者は海外子会社と雇用契約(出向契約)を結んで海外子会社のために勤務しますので、その出向者の給与は基本的には子会社負担となります。
一方、出向者と日本本社の雇用契約は出向期間中も継続していますので、出向者は日本本社との雇用契約に基づく報酬を得る権利も持っています。
海外子会社の給与条件が日本本社よりも悪い場合は出向者が不利益を受ける可能性がありますので、出向元である日本本社が出向先である海外子会社との給与条件の較差を補てんするために支出した金額は日本本社の損金に算入することができることになっています。
つまり「給与較差補てん金」という形であれば、海外子会社に出向している人の給与の一部を損金に算入できるということです。
源泉徴収は不要
これは法人税法上の話ですが、では給与較差補てん金を支払う時に個人所得税の源泉徴収は必要なのでしょうか。
海外出向者は通常は日本の非居住者ですので、日本の国内源泉所得だけが所得税の課税対象です。
海外出向者への給与較差補てん金は海外での勤務に対する対価ですので国外源泉所得となります。そのため日本の所得税の課税対象外であり、源泉徴収は不要です。
海外子会社所在国の源泉所得として、海外子会社からの支給分と合算して現地で納税することになります。
ただし海外出向者が一時帰国して日本で勤務した分は、日本の国内源泉所得として所得税の課税対象(20.42%の源泉分離課税)となる点には注意が必要です。
寄付金リスクは常にある
給与較差補てん金として損金算入が認められるかどうかは実態を個別に判断することになります。
「このような形式を満たせばOK」という基準はありませんので寄付金認定リスクは常にありますが、「給与条件の較差」という以上は現地の給与水準をできるだけ信ぴょう性高く把握しておくことが重要です。
現地の会計事務所や人材紹介会社、JETROなどに聞くのも有効ですし、海外子会社の中で同ランクの人の給与を参照するのも有効です。
海外子会社がよほどの経営危機でない限り、別会社である海外子会社の社員の給与を損金に算入するための根拠は給与較差補てん以外にありません。
否認された場合の金額は大きくなりますので、給与条件の較差補てんと説明がつくかどうかは慎重に検証が必要だと思います。
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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