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税務当局が別表17(4)の記載内容から読み取ること | 押方移転価格会計事務所

別表17(4) 記載内容

確定申告書の別表17(4)は提出しているでしょうか。

出していない、出していても内容が不正確という企業が多いですが、国外関連者をもつ企業は別表17(4)を正確に記載して申告しなければなりません。

別表17(4)は「国外関連者に関する明細書」という名前で、移転価格税制用の申告書です。(詳しい内容については別表17(4)の書き方をご覧ください。)

この申告書を税務当局がどのような目線でみるかを知っておくことは、企業サイドにとっても有益ですので、その点について書きたいと思います。

日本からの所得移転があるかどうかの「あたり」をつける

別表17(4)は移転価格税制用の申告書フォームです。

移転価格税制は外国にある身内企業である国外関連者との取引を通じて、日本から所得が移転することを防ぐための税制です。

ですので税務当局は別表17(4)をみることによって、所得の国外流出が起きているかどうかを見極めようとします。

国外関連者が一覧で掲載されていますので、どの国に国外関連者があるのか、何をしているのか、規模はどれくらいかといった基本情報を簡単に把握することができます。

そして国外関連者の簡易PLと利益剰余金の額も書かれていますので、国外関連者が儲かっているのかどうか、過去の利益が積みあがっているかどうかも確認することができます。

別表17(4)の下半分には、棚卸資産取引、役務提供取引などの区分別に国外関連者との取引額が記載されていますので、取引規模がどれくらいかもわかります。

その下に「算定方法」の欄がありますが、これは取引単位営業利益法などの独立企業間価格算定方法を記載する箇所です。

この欄が空欄になっていると、調査官は移転価格税制に対する対策が不十分である可能性、あるいはローカルファイルが作られていない可能性を疑うと思います。

最下段には事前確認の有無を記載しますので、国外関連取引について税務当局との事前の合意があるのかどうかも把握できます。

典型的な「怪しい」ケース

調査官は次のような視点で別表17(4)の記載内容をチェックしています。

  • 国外関連者の利益率が高く、利益剰余金の額も大きい
  • 国外関連取引の金額が大きい
  • 「算定方法」の項目が空欄
  • 事前確認(APA)を行っていない
  • 国外関連者が低税率国にある

この5拍子がそろうと日本からの所得移転が起きている可能性大として、調査時に追及される可能性が高くなります。

確定申告時に国外関連者の基本情報と取引額を報告させ、所得移転がありそうだと思ったところに移転価格調査を行うという流れです。

日本の場合はこの「別表17(4)」という書類ですが、諸外国にも似たような申告書フォームがあります。

確定申告書は空欄を単に埋めればいいのではなく、その記載内容から税務当局が何を読み取ろうとしているのかを知っておくことが非常に重要です。

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この記事は国際税務の一分野である移転価格税制専門のコンサルタントが書いています。
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<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)

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