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本店所在地国で使用する固定資産の貸し付け料(リース料)は特定所得から除外 | 押方移転価格会計事務所
- 2020.06.03
- 国際税務
外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)においては、低税率国にある一定の海外子会社の受動的所得を日本本社の所得に合算します。(「経済活動基準を満たす場合でも受動的所得は合算する理由」参照)
合算される所得のことを特定所得ともいいますが、具体的には受取利息や受取配当金、ロイヤリティ収入などがあり、有形固定資産の貸し付けの対価もそのひとつとされています。
とはいえ、有形固定資産の貸し付け料のすべてが合算対象となるのではなく、主として海外子会社の本店所在地国で使用される固定資産の貸し付け料は特定所得の範囲から除外されています。
その理由を考えてみましょう。
受動的所得ではないと判断できるから
受動的所得を合算するそもそもの理由は、汗をかかずに得る収入を低税率国に集中させることによる租税回避の防止です。
ですので、真面目に働いて得た有形固定資産の貸し付け料は合算不要です。
有形固定資産の貸し付けを生業としている物品賃貸業の典型といえばリース会社です。
リース会社が海外に現地法人を作って、その国の企業にオフィス機器などをリースするのは本業活動ですので、合算課税すべきでないことは明らかです。
低税率国であるシンガポールの現地法人に、中国企業向けのリース料を計上しているのであれば租税回避が疑われますが、シンガポール企業向けのリース料であれば租税回避の可能性は低いといえます。
受動的所得ではない可能性が高いため、海外子会社の本店所在地国で使用される固定資産のリース料は合算課税の対象外とされました。
所在地国基準との整合性
海外子会社(外国関係会社)に外国子会社合算税制を適用するかどうかの判断基準(経済活動基準)のひとつに所在地国基準があります。
非関連者基準と所在地国基準のどちらかが適用されますが、物品賃貸業(リース業)の場合は所在地国基準が採用されます。(「所在地国基準と非関連者基準を使い分ける根本的な理由」参照)
物品賃貸業を営む海外子会社が事業活動(=固定資産の貸し付け業)を、本店所在地国内でおこなっていれば所在地国基準を充たします。
それに加えて他の経済活動基準も充たしていれば、子会社の所得全体の合算は不要となり、受動的所得のみを合算することになります。
その受動的所得に海外子会社の本店所在地国内で行う固定資産の貸し付け料が含まれてしまうと、結局はその海外子会社の本業収入が合算されることになってしまいます。
このような不合理を避けるために必要な措置だったのです。
なおこの記事は、対象物件が国境を超える航空機リース業は対象外としています。(「一定の航空機リース業は事業基準を満たすこととされた理由」参照)
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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