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税務行動指針を明文化する企業が出てきている | 押方移転価格会計事務所

税務行動指針

これまで各国は多国籍企業を呼び込むために法人税率の引き下げ競争を行ってきました。日本も例外ではありません。

そしてそれに乗じるように巨大IT企業などは、「積極的なタックスプランニング」によって納税額を極小化してきました。

しかし最近はこの流れが変わってきています。アメリカやイギリスはむしろ法人税率を引き上げる方向です。

その国に物理的な施設がなくても課税できる仕組みを導入する一方、グローバル最低法人税率を設けることについても国際的な合意が得られました。

機関投資家も税務ガバナンスを重視し始めている

「積極的なタックスプランニング」といえば前向きな表現に聞こえますが、これは「法令の趣旨を逸脱した濫用的な適用」と紙一重です。

巨大IT企業なども納税額の少なさに対して批判を受けるようになりました。単なる批判にとどまらず、ヨーロッパの機関投資家の中には、税務ガバナンスに懸念がある企業を投資対象から除外するところも出てきているそうです。

機関投資家が各国に適切に納税することもグローバル企業が果たすべき責任のひとつであることを明言し始めた証拠といえるでしょう。

巨大IT企業といえど機関投資家の意向は無視できませんので、今後は方針転換をせまられるでしょう。

国際課税に関する税務行動指針

このような背景の下、日本でもコーポレートガバナンス活動の一環として税務行動指針を明文化し、開示する企業が出てきています。

国際課税に関する部分については、

  • 租税回避行為は企業価値を低下させる行為と認識している
  • OECDガイドライン及び各国の税制に準拠して独立企業間価格でグループ会社と取引する
  • タックスヘイブンを用いた濫用的なタックスプランニングは行わない

などと表明している企業があります。

一見当たり前の文章にみえますが、公式な税務行動指針として開示し、それに準拠していることを内外に示すことが中長期的には企業価値を高めると認識した上での行動だと思います。

税務に関するコーポレートガバナンスが求められる時代

こういうものは大企業が先行して導入し、中堅企業は少し遅れて追随してきます。

今後、自社で税務行動指針を作成する際や、株主総会で質問があった時の模範回答として使うこともできそうですので、気になる方は他社事例を確認しておきましょう。

上場企業はもはや税務ガバナンスを無視はできないでしょう。低税率国にペーパーカンパニーを作るなど完全に時代遅れです。

当事務所は移転価格税制に対応できるようになるための社内体制作りをご支援していますが、これも税務ガバナンス活動に分類されるといえます。

どの企業も最終的に目指すゴールは「過不足のない適正な納税」になると思いますので、それに向けて社員教育や外部専門家との関係構築などを進めていきましょう。

<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)

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