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販売無形資産の使用料と販売手数料はまったく別もの | 押方移転価格会計事務所
- 2023.01.26
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租税特別措置法に列挙されている無形資産のうち、次のものは「販売面の無形資産」に分類されます。
・顧客リスト及び販売網
・営業上の秘密
・商号及びブランド
日本本社が保有するこれらの無形資産を海外子会社が使用しているのであれば、商標ロイヤリティやライセンス料等の名目で販売無形資産の使用料を受け取るべきといえます。
一方、これと何となく似たものにセールスコミッション(販売手数料)があります。
両者の違いは何でしょうか。特に「顧客リスト及び販売網の使用料」との違いは何でしょうか。
セールスコミッションは役務提供の対価
セールスコミッションとは「フルコミの仕事」と言うときのコミッションことです。
不動産会社の社員が不動産の販売に成功した時に販売額に応じて支払われる報酬などが典型例で、販売という役務(サービス)の対価として支払われる手数料のことです。
このコミッションの収受を海外子会社との間でも行うことがあります。
例えば韓国に販売子会社があるものの、財務体力的に在庫リスクを負えない、現地ユーザーとの間に直接口座を開けないといった理由から日本本社の商品の代行販売をしているとします。
この場合、売上は日本本社に計上され、韓国子会社は決められたコミッションを日本本社から受け取ることになります。
つまりセールスコミッションとは、「商品の販売」という役務に対する作業料のことです。
販売無形資産の使用料は権利収入
次に販売無形資産の使用料ですが、例えば日本本社が保有する顧客リスト(販売網)を海外子会社に公開し、海外子会社はその顧客リストを使って営業活動を行っているとします。
それが収益獲得に大きく貢献するリストであれば、海外子会社は「顧客リストの使用料」を支払うべきといえます。
この使用料は上述のような役務提供取引ではなく無形資産取引であり、一種の権利収入といえます。
同様に営業上の秘密やブランドに高い価値があれば、「営業上の秘密の使用料」や「商標ロイヤリティ」を支払うべきです。
日本本社は海外子会社の商品の代行販売を行っているのではなく、海外子会社の販売活動に寄与する何かを貸しているので、そのレンタル料(使用料)を受け取っているということです。
実務的には必ずしも明確に線引きできない面もありますが、両者は概念的にはまったく別ものです。
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