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無形資産があるかどうかの判断基準 | 押方移転価格会計事務所
移転価格税制において日本本社または国外関連者に無形資産があるかどうかの判断は非常に重要です。
独立企業間価格算定方法の選定に影響を与えるだけでなく、ロイヤリティを取るかどうかの判断にも直結するからです。
しかし無形資産があるかどうかは親子間取引を正確に描写した上で総合的に判断するしかなく、たとえば「フローチャート」のような形式的判定はむしろ積極的に回避すべきだと思います。
最近、無形資産の定義も行われましたが、あまりぱっとしないというか、実務サイドとしてはもう少し具体的な判断基準が欲しいところです。
DEMPE機能
この点についてOECDでは、「DEMPE機能」を分析すべしと言っています。
これは無形資産の開発(Development)、改良(Enhancement)、維持(Maintenance)、保護(Protection)、活用(Exploitation)というDEMPE機能を果たしており、それに関連するリスクを負っている者が無形資産からの高いリターンを享受すべきであり、無形資産開発にかかる資金を提供していることや、特許権等の法的所有者であることだけを理由に高いリターンを得るべきではないという考え方です。
このような考えが提唱された背景には資金の提供者と無形資産を実質的に構築した者が一致しておらず、そのことがBEPS(税源浸食と利益移転)の温床になっているという指摘がありました。
移転価格事務運営要領3-13においても、無形資産の形成、維持又は発展への貢献を考慮し、単に費用を負担しているだけでは貢献度合いは小さいと言っていることから、日本の税務当局も考え方は同じです。
時間とともに無形資産の在り方も変わる
DEMPE機能を念頭におきながら親子それぞれについて、製造ノウハウに代表される製造面の無形資産や、ブランド(商標)やマーケティング戦略など販売面の無形資産の有無を判断します。
「日本本社に研究開発部門があるから製造無形資産がある」と短絡的に考えるのではなく、研究開発が超過利益(同業他社以上の利益)に貢献するユニークで価値ある活動かどうかという観点で考えます。
また国外関連者にも規模は小さいが独自の研究開発部門があることもあります。国外関連者の研究開発に独自の貢献が認められるのであれば、国外関連者にも製造無形資産があることになります。
そうなると日本本社に払っているロイヤリティの料率は今のままでいいのか、共同開発品なのでロイヤリティは不要でないか、など無形資産分析の結果に応じて親子間取引の見直しをする必要も出てきます。
このあたりの判断が正確にできるのは、これまでの経緯や製品、業界のことをよく知っている企業自身です。移転価格課税における無形資産の在り方について、あらためて検証されてはいかがでしょうか。
最後に「ミニワーク」をご提案します。ぜひ社内の皆さんと一緒に考えてみて下さい。
❝ミニワーク❞
「無形資産分析において、無形資産の開発(Development)だけでなく、改良(Enhancement)、維持(Maintenance)、保護(Protection)、活用(Exploitation)についても考慮していますか。」
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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