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貿易額が年間50億円未満でも移転価格税制の適用対象となる | 押方移転価格会計事務所
- 2016.12.02
- 移転価格文書化
平成29年4月1日以降に開始する事業年度から、特定の海外子会社との貿易額が年間50億円以上の場合は、確定申告期限までに移転価格文書を作成することが義務付けられることになりました。
これを同時文書化義務というのですが、よくある勘違いとして、「年間50億円未満の場合は、移転価格税制の適用対象外」と思ってしまうことがあります。
年間50億円というのは、あくまでも同時文書化義務の基準です。50億円に達していないからといって移転価格税制の適用が免除される訳ではありません。
これは次の話で理解できると思います。
海外子会社から製品を買っている企業があり、独立企業間であれば3億円相当の製品を10億円で買っているとします。7億円もの所得移転が起きているにもかかわらず、「50億円未満だから」という理由で移転価格税制の適用対象外になるはずがありません。
年間50億円というのは、確定申告期限までに移転価格文書を作成する義務の基準であり、50億円未満の場合は、調査官から「60日以内の特定の日」を指定されますので、その日までに移転価格文書を提出する必要があります。
そしてその日までに提出できなければ、みなし利益率を用いた推定課税を免れることができないこととされています。つまり、移転価格税制においては取引額の免税点はないということです。現に海外子会社との取引額が年間数億円規模の企業に対して移転価格調査が入っています。
下記記事では移転価格の同時文書化義務についてや、なぜ移転価格文書が必要なのかについて解説しておりますので、ぜひ参考にしてみてください。
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移転価格文書の同時文書化義務が免除でも「文書化」は必要
移転価格文書を毎年更新する体制を整えよう
上記のように、50億円基準を超えている場合はもちろん、基準に達していなくても移転価格文書の作成は毎年行う必要があります。税務調査が3年に1回だからといって、調査がくる直前に3年分を一気に更新するのはやめておいた方がいいと思います。
3年前の子会社の決算内容を思い出すことが大変ですし、調査の直前になって移転価格上の問題が生じていることを発見しても、できることが限定されるからです。
やはり決算ルーティンの中に組み込んでしまうことが一番楽だと思います。思い起こして欲しいのですが、決算では結構なボリュームのことを短期間でやっていると思います。これは作業項目をあらかじめ把握しておき、スケジュール通りにこなしていくからできることです。
この決算項目の中に「移転価格文書の更新」を追加しましょう。50億円基準を超えている場合は必然的にそうなりますし、超えていない場合も、決算の記憶が新鮮なうちに移転価格文書の更新を終えてしまう方が絶対ラクです。
そのためには移転価格文書の作成方法について、会社内に一定のノウハウを蓄積しておくことが必要です。コンサルタントに手伝ってもらうにしても、更新を完全に丸投げするのと、イレギュラーな部分や不明な部分だけを質問しながら更新するのとではスピードが違ってきます。(もちろん費用も)
移転価格文書化制度のルールは、厳しくなってきています。そろそろ移転価格対応を始めておこうという方は、ぜひ当事務所までご相談下さい。
関連記事:「これだけは知っておこう!」移転価格の基礎講座(前編)
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