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60日以内にローカルファイルを提出する義務がある | 押方移転価格会計事務所
- 2018.06.04
- 移転価格文書化
事前に用意しておかないと間に合わない
税務調査においてローカルファイルの提出を求められた場合、60日以内の調査官が指定する日までに提出する必要があります。(同時文書化免除取引の場合 詳しくは「ローカルファイル例示集のポイントと移転価格文書化制度の改正」を参照)
そして期限内に提出できない場合、税務当局は独立企業間価格を独自に推定して課税する権利を持っています。
例えば海外子会社の営業利益率が12%である場合、日本の税務当局は海外子会社に所得が移転しているという疑いを持つ可能性があります。そして海外子会社に取引単位営業利益法を適用し、「あるべき利益水準は5%である」という結論を出すかもしれません。
取引単位営業利益法は海外子会社に独自技術などの無形資産がないことを前提に適用するものです。海外子会社が無形資産を保有しているのであれば、12%でも適正水準だったかもしれません。
事前にその旨をローカルファイルにまとめておけば、その妥当性を検証するのは当局サイドの仕事になりますが、提出を求められてから動き始めたのでは間に合わない可能性が高いです。
何事も「備えあれば憂いなし」です。
ローカルファイルを作成するかどうかは、「有事の前」に検討しておきましょう。
関連記事:ローカルファイル(移転価格文書)の作成期限と提出期限
情報開示にも気をつけよう
ローカルファイルを事前に用意しておくことは、先手を打つことにもなるので大事なのですが、その際は子会社に関する開示情報にも気を配りましょう。
子会社が独自の製造ノウハウや強力な販売ネットワークなどの無形資産を有している場合は、利益水準が高くても移転価格上の問題はないと説明できます。
反対にそのような無形資産がない場合は、基本的な販売活動、製造活動を行っている企業であるため、類似企業と同程度の利益水準が妥当ということになります。
ホームページや有価証券報告書等で「海外子会社には最新の研究開発施設がある」と開示しておきながら、ローカルファイルには「海外子会社は研究開発機能を持たない基本的活動のみを行う法人である」と書いたのでは矛盾が生じます。
ウソを書く必要はありませんが、誤解を生じさせないよう公表資料を作成する時は移転価格税制のことも少し考慮して下さい。
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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