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機能リスク分析の書き方がローカルファイルにおいては重要 | 押方移転価格会計事務所
- 2018.11.19
- 移転価格文書化
ローカルファイル(移転価格文書)の記載項目のひとつに「機能リスク分析」があります。
親会社と子会社が担っている機能とリスクを記載する箇所ですが、機能というのは例えば、研究開発機能、マーケティング機能、製造機能といったものを指し、リスクとは研究開発(の失敗による)リスク、在庫リスク、信用リスクといったものを指します。
それぞれの会社が負っている機能とリスクは重々理解されていると思いますが、いざ書くとなると、どのような方向性で書けばいいのか迷うのではないでしょうか。
そんな時はローカルファイルのそもそもの目的を思い出しましょう。
ローカルファイルは特定の海外子会社との取引が独立企業間価格で行われていることを説明するための文書です。
世間に公表されるものではありませんので、アナリストに自社の株価を高く評価してもらうというような目的ではありません。
下記の独立企業間価格算定方法の中からベストな方法を選択し、海外子会社と適切に取引していると説明するのですが、算定方法を決めるための判断材料のひとつとして機能リスク分析が必要になります。
<独立企業間価格算定方法>
独立価格比準法(CUP法)
再販売価格基準法(RP法)
原価基準法(CP法)
取引単位営業利益法(TNMM)
利益分割法(PS法)
例えば、親会社と子会社のうち、どちらが果たしている機能とリスクが限定的かを決め、限定的な活動を行っている法人であれば企業データベースから一定の比較可能性を持った企業を抽出できると考え、機能とリスクが限定的な方を検証対象とする取引単位営業利益法(TNMM)を最適な方法として選出するといった流れになります。
独立企業間価格算定方法とリンクした書き方をする
このように機能リスク分析は独立企業間価格算定方法を決める時に使うものですから、最終的に選定される独立企業間価格算定方法と矛盾しないような記載が求められます。
例えば、海外子会社は基本的な活動を行っている製造子会社ということで、海外子会社を検証対象とする取引単位営業利益法を選定したにもかかわらず、機能リスク分析の項目で、海外子会社側の研究開発機能や製造機能を強調し過ぎると矛盾が生じます。
「これだけの機能を持っているなら、基本的活動を行っている法人とはいえないんじゃないの?」ということです。
同時にそのようなローカルファイルを作るのであれば、ホームページや有価証券方向報告書などの情報開示にも気をつける必要があります。
「海外の製造子会社には研究開発部門があり、常時〇〇人体制で新製品の開発を行っている」
といった情報開示をしていると、ローカルファイルの内容と矛盾している(=独立企業間価格算定方法が不適切)と指摘される可能性があります。
もちろんウソはいけませんが、事実といえる範囲でローカルファイルとディスクローズ資料の記載に矛盾がないよう心がけましょう。
関連記事:ローカルファイル例示集のポイントと移転価格文書化制度の改正
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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