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日本企業の比較対象は有価証券報告書から探すこともできる | 押方移転価格会計事務所
- 2016.11.10
- 移転価格文書化
移転価格税制は海外子会社との取引を資本関係のない第三者間の価格(独立企業間価格 ALP:Arm’s Length Price)で行うことを求める税制です。
「移転価格」という名称ですので、個々の製品・商品について、それぞれ独立企業間価格を求めなければならないと考えてしまいがちですが、実務的にはそのような対応は難しく、親子間取引を一つのかたまりと考えてその利益水準を検証するアプローチが一般的です。
資本関係のない会社間で行われた取引の中から、海外子会社との親子間貿易と製品の種類や取引条件が同じような取引(比較対象取引)を見つけてきて利益率の水準を比較するのですが、なかなかそのような取引を見つけることはできません。
そのため独立企業間価格計算方法の1つである取引単位営業利益法(TNMM :Transactional Net Margin Method)においては、外部に公表されている企業情報から比較対象となる企業を選定し、その営業利益率を日本本社または海外子会社の営業利益率と比較するというアプローチが認められています。
企業情報は、有価証券報告書等から自力で探してもよい
外部に公表されている企業情報をどのように集めるかということですが、一般的には企業情報データベース会社からデータベースを購入し、それに絞り込み(スクリーニング)をかけることによって、比較対象となる企業を5社から20社程度選定することになります。
世界中の企業の情報を自社で集めることは難しいためデータベースを買った方が確実なのですが、日本企業の比較対象企業だけを探している場合は、有価証券報告書を利用するのも一つの方法です。日本語で書かれているので言葉の問題はありませんし、セグメント情報の項目をみれば自社と同事業のセグメントの営業利益率を確認することもできるからです。
上述の取引単位営業利益法は日本本社と海外子会社のうち、果たしている機能と負っているリスクが限定的な側を検証対象とすることとされています。
海外子会社の方が機能・リスクが限定的であることが一般的ですので、海外子会社の比較対象企業を探すことが多いのですが、親子間取引だけにフォーカスすれば、日本本社の方が機能・リスクが限定的といえる場合もあります。その時は日本企業の比較対象企業を探すことになりますので、有価証券報告書を活用することも考えられます。
また御社が外国法人の日本子会社である場合は、日本企業の比較対象企業を探す可能性が高いので、有価証券報告書を使うことを検討してもいいでしょう。
一般的には企業情報データベースを購入することになると思いますが、それは絶対条件ではなく、自力で一定の比較可能性のある企業情報を収集できる場合は、それでも構わないということです。
いずれにせよ、自社にとって最も効率的な比較対象企業の選定方法を考えていくことが重要です。
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