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ローカルファイルは細かい書き方より全体的なストーリーが大事 | 押方移転価格会計事務所
- 2020.02.05
- 移転価格文書化
ローカルファイルは確定申告書のようにフォーマットがきっちり決まっているものではありません。細かな書き方よりも、どのようなストーリーで独立企業間価格であると説明しているのかを理解することが重要です。
※記載項目についての詳細はこちらから始まる7つの記事をご覧下さい。
絶対的な独立企業間価格を算定することは誰にもできない
ローカルファイルは、海外子会社との取引を第三者と同じような価格(独立企業間価格)で行っていることを説明する文書です。ですがそもそも価格に絶対的な値というものはありません。
例えば、「コーヒーが300円」だけでは高いか安いか判断できません。コンビニのカップコーヒーが300円であれば高いと感じますし、ホテルのラウンジで飲むコーヒーが300円であれば安いと感じます。
これは頭の中に相場感があり、それと比較して高いか安いかを判断しているということです。
海外子会社との取引も同じで、何かと比較しないと高いか安いか判断できません。そのためローカルファイルにおいては、「比較対象取引」を見つけてくることが基本となります。
比較対象取引は、企業データベースから見つけてくることが多い
比較対象取引について、企業の内部で見つかればそれを優先します。(内部比較対象取引)
海外子会社に販売しているのと同じ製品を同じような条件で第三者にも販売しているのであれば、第三者向けの販売価格で海外子会社にも販売すべきです。
ですがそのような取引が見つかることは少ないので、多くの場合は公表されている企業データベースから比較対象取引(比較対象企業)を見つけてくることになります。
そしてその比較対象企業の個々の商品・製品の取引価格を知ることはできませんので、会社全体の営業利益率の水準を検証することになります。
比較対象企業を見つけるための大前提
比較対象企業は、企業データベースから業種や地域、売上規模などの条件を決めて絞り込んでいくのですが、ここには重要な前提条件があります。
それは機能とリスクが限定されている企業は、利益率も一定の範囲に収まるべきという考え方です。
機能というのは、製造機能、マーケティング機能、研究開発機能などのことです。リスクは研究開発リスク、製造リスク、信用リスクなどのことです。
機能とリスクが限定されている企業はオーソドックスな普通の企業なので、類似企業をデータベースから見つけてこれるだろうということです。
逆にいえば、複雑な機能、大きなリスクを負っている企業は独自性が高いので、企業データベースから比較対象企業を見つけてくることは難しいということになります。
ストーリーに矛盾はないか
多くの場合、日本本社よりも海外子会社の方が機能とリスクが限定されていますので、海外子会社側の比較対象企業を探すことになります。
「海外子会社の比較対象企業の営業利益率レンジ内に海外子会社の営業利益率が収まっているのであれば、日本からの所得移転は起きていない」というストーリーで説明することになります。
これは最も単純なストーリですので、あてはまらないケースも多くあります。移転価格税制の基本的な考え方を理解した上で、個々のケースにあてはめてみて、全体として矛盾のないストーリーになっているかを確認するようにしましょう。
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
「移転価格対応に失敗したくない人が最初に読む本」
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