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海外子会社への利益供与が起きる根本的な原因 | 押方移転価格会計事務所
- 2021.06.30
- 海外寄附金
海外子会社への利益供与とは?
海外進出企業は、税務調査において国内税務とは異なる内容の指摘を受けることがあります。その典型が海外子会社への利益供与です。
租税特別措置法第66条の4第3項の規定により、海外子会社(国外関連者)への経済的利益の無償供与は全額損金不算入とされています。
海外子会社への利益供与の具体例としては、海外子会社に赴いて技術指導を行った際のフライト代やホテル代が否認されたり、海外子会社に出向している方への給与負担金が否認されるといったことがあります。
親が子の面倒をみるのは当たり前という感覚
このようなことが起きる根本的な原因は、子会社なのだから支援してあげるのが当然という感覚が親会社・子会社双方にあるからです。
- 「子会社の設備にトラブルがあった場合は、出張して支援する」
- 「高額な出向者人件費を全額負担させられない」
- 「親会社の特許技術やブランド(商標)を無償で使わせてあげる」
- 「資金が足りなくなったら、無利息で貸付を行う」
親子なのだから支援するのは当然という企業サイドの感覚と、子会社とはいえ別会社なのだから子会社が得た便益に対する適切な対価を受け取るべきという法人税法の考え方にズレがあるのです。
上記の子会社支援に対する法人税法の考え方は次の通りです。
- 「出張支援によって子会社が便益を得たのであれば、かかった費用は子会社負担」
- 「出向者は子会社で勤務しているのだから、給与は原則として全額子会社負担」
- 「特許技術やブランドの使用に対する適正な対価を徴収すべき」
- 「子会社に貸付を行った場合は、適正な金利を受け取るべき」
このことをしっかり理解していないと、思わぬ寄付金認定を受けることになります。
特に海外子会社の場合は、各項目に対する支援額が大きくなる上に税収が国外に逃げることになりますので、より一層厳しく指摘されることになります。
経理部門だけでなく全社的な理解が必要
海外子会社への寄付金認定を防ぐためには、経理部門だけで努力しても難しいでしょう。
海外子会社の責任者にも親会社からの支援は無償では済まないことを理解してもらう必要がありますし、日本本社の経営陣も知っておく必要がある内容です。
個々の項目に対して具体的な手を打つことも重要ですが、社内勉強会などを通じて関係者を巻き込んでいくことはそれ以上に重要だと思います。
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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