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国外関連者への寄附金は全額損金不算入 | 押方移転価格会計事務所
- 2016.08.22
- 海外寄附金
国外関連者とは税務上の用語で、主として出資比率が50%以上の外国法人のことを意味します。(一般的に言う「海外子会社」とだいたい同じ意味です。
関連記事:「国外関連者とは」
そして、国外関連者への寄附金は全額が損金不算入とされています。
寄付金に関する規定は古くからあり、一定の損金算入が認められています。 国や地方自治体への寄付は全額損金算入可能ですし、それ以外の寄付金は資本金等を基準にした損金算入限度額が設けられています。
それが平成3年の税制改正で、国外関連者に対する寄附金については損金算入が一切認められないことになりました。
税務調査において、海外子会社への出張旅費や親子ローンの金利の未回収が寄付金と認定されることがありますが、この規定(国外関連者への寄附金は全額損金不算入)があるために、寄附金認定された金額が損金算入されることなく、そのまま所得加算されることになります。
移転価格税制との関係
また国外関連者との取引には移転価格税制が適用になります。国外関連者との取引を独立企業間価格で行うことを求めるルールですが、移転価格税制の対象には棚卸資産取引以外の取引も含まれます。
海外子会社に出張支援に行った場合や、貸付を行った場合も独立企業間価格で取引をする必要があるという意味です。
つまり、海外出張支援や親子ローンの場合、移転価格税制と寄附金規定の両方が関係することになります。
あいまいというか、どっちとも取れるという状況なのですが、否認する側の立場になって考えると移転価格税制よりも寄付金課税の方が簡便ですので、中堅企業の調査の場合は、寄附金で処理することの方が多いと思われます。
対価をいくらかでもを受け取っている場合は、その対価の額が独立企業間価格に達しているかどうかという移転価格税制の議論に持ち込むこともできますが、全く対価を受け取っていない場合は、抗弁の余地がない場合が多いです。
海外子会社への寄附金は、否認が簡単な上、金額も大きくなることが多いです。 海外出張に1回行けば、少なくとも20万円程度はかかります。ある人の海外出張が子会社支援と認定された場合、その人の出張をさかのぼって追跡するだけですぐに数百万円ぐらいにはなってしまいます。
緊急度という意味では、棚卸資産取引に関する移転価格税制対策よりも優先順位は高いといえます。前回の調査で何も言われなかったからといって油断はできません。調査官の中にも国際税務に強い人とそうでない人がいます。次回の調査で急に指摘が入る可能性は否定できません。
海外子会社への寄附金対策は、海外進出企業の必須科目と考えて早めに手を打つようにしましょう。
関連記事:海外子会社への出張旅費の寄附金認定を防ぐための5ステップ
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<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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