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出張旅費と出向者給料の寄付金対策が最優先 | 押方移転価格会計事務所
- 2016.05.01
- 海外寄附金
最も指摘件数が多い項目が出張旅費と出向者負担金
国際関係の税務調査で最も指摘件数が多い項目が、「海外出張旅費」及び「出向者人件費の親会社負担分」を子会社への寄付と認定されるパターンです。
棚卸資産取引の移転価格調査は調査する側の負担が大きいですが、海外子会社への寄付金に関しては特別な知識がなくても簡単に否認できる上、金額も多額になります。
例えば海外出向者の人件費を親会社が負担していて、それが寄付と認定された場合、最長5年間遡って人件費の否認を受けます。年間300万円負担していたとすると、単純計算で1500万円も否認されることになります。
このような海外子会社に対する寄付金リスク対策は、海外進出企業の急務といえます。
会社の規模は関係ない
移転価格調査の場合、ある程度の規模がなければ調査する側の費用対効果が合わない面がありますが、出向者負担金と出張旅費に関しては会社の規模に関係なく対策が必要です。
これらの項目に対する調査は、通常の法人税調査の一環として行われます。海外子会社が1社でもあれば、海外子会社支援という名目で寄付金認定を受けるリスクはあります。海外進出企業が増える中で調査官も国際課税の研修をしてきています。前回の調査では特に指摘がなかったのに、次回の調査で突然指摘されることも十分にあり得ます。
中小企業の場合、移転価格対策は不必要かもしれません。ですが、海外子会社への寄付金対策は一通り行っておく方がいいでしょう。
海外子会社支援の種類
海外子会社支援として寄付金認定される可能性のある項目としては、
①海外子会社に販促支援などの出張支援を行い、その対価を回収していない
②海外出向者の人件費を親会社が負担している(給与格差補てん)
③海外子会社に無利息で貸付を行っている
④海外子会社が負担すべき広告宣伝費を親会社が負担している
⑤海外子会社に製造設備を無償で貸している
⑥海外子会社からブランド使用料を受け取っていない
などを挙げることができます。
この中でも特に①と②について早急に対策を始めることが重要です。
①については「海外子会社への出張旅費の寄付金認定を防ぐための5ステップ」
②については「給与格差補填の寄付金認定を防ぐ9つの検討項目」をご覧下さい。
まず寄付金対策、その後必要に応じて移転価格対策
移転価格対策よりも、海外出張旅費の未回収を始めとする寄付金対策の方が優先順位が高いです。グループ間取引の対価回収に関する社内ルールを取り決め、それを書面化しておきましょう。
そしてその書面を税務調査時に提示し、「当社はこのような方針でグループ間取引を行っています。子会社とはいえ別会社ですので、一定の線は引いています。」と説明できれば税務コンプライアンスへの意識の高さをアピールできます。
税務当局は税務コンプラアンスへの意識向上を呼びかけていますので、その意に沿った会社であると評価されれば、プラスになることはあってもマイナスになることはありません。数ページ程度の簡単な形式で構いませんので、グループ間の取引ポリシーを書面化しておくことをお勧めします。
棚卸資産取引以外のグループ内取引について一定の対策ができた後、金額的な重要性がある場合は、棚卸資産取引(及び無形資産取引)に関して移転価格ポリシーの文書化に取り組むといいでしょう。
「寄付金対策の後に移転価格対策」という順番を意識するようにしましょう。
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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