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子会社貸付金(親子ローン)を無利息にすると寄付金リスクがある | 押方移転価格会計事務所
- 2016.03.26
- 海外寄附金
先日、某メガバンクの副支店長が次のようなことを言っていました。
「うちのお客様でも子会社に貸付をする時は、契約書も何もないのが普通ですね。」
関連記事:子会社貸付金(親子ローン)から何%金利を取ればいい?
子会社に資金が必要となった時、契約期間や金利を決めずに貸付を行ってしまう感覚はよくわかります。特に100%子会社の場合は、日本本社が貸付を行うことを決めれば他の誰からも了承を得る必要はありませんので、海外子会社の銀行口座に資金を振り込んで、貸付金として会計処理しておけば問題ないと考えてしまいがちです。
ですが、税務的な観点から見れば大きな否認リスクを抱えています。
子会社であっても別法人ですので、資本関係のない独立した第三者と同じように取引を行わないと寄付金認定のリスクがあります。親子ローン(インターカンパニーローン)の場合は、親子間で契約書を作成し、独立した第三者に貸した場合と同水準の金利を受け取ることが必要です。
子会社から金利を受け取らない(あるいは低金利貸付)ことによる税務リスクは、国内子会社よりも海外子会社に貸した場合の方が高くなります。 超低利率国の日本よりも、海外の方が金利水準が高いからです。さらに国内企業に寄付した場合は一定額を損金に算入できますが、国外関連者(海外子会社)に寄付した場合は全額が損金不算入とされているため、寄付金認定された金額がそのまま所得加算となります。(実際はさらに延滞税、加算税が加わります。)
例えばタイの子会社に5000万円を無利息で5年間貸しっぱなしであった場合、タイの金利相場から判断して5%の利息相当額を寄付したと認定されるリスクがあります。
この場合は、 5000万円×5%×5年=1250万円 もの寄付を行ったと認定されてしまうのです。
銀行は自行が融資を行う場合には、しっかりした契約書を用意してきます。ですが、日本の親会社から海外子会社に貸付を行う場合は、自分たちには関係がないので契約書が整備されているかどうかについては関心がないのです。海外進出企業と多くの取引を行っているメガバンクでもこのような状況ですから、海外進出企業との取引が少ない地方銀行や信用金庫の方の場合は、なおのことご存知ないと思います。
海外子会社への寄付金は対応策を知っているか知らないかだけで、多額の追徴を受けたり回避できたりします。海外寄付金に関する情報収集は今後もぜひ続けて下さい。
子会社とはいえ別法人。お金を貸す時はしっかり契約書を作って利息も取るようにしましょう。
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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