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海外への赴任支度金について法人税、所得税の両面から検証 | 押方移転価格会計事務所
- 2020.03.04
- 海外寄附金
赴任支度金とは
海外に赴任する時、その準備費用として赴任支度金が支払われるケースが多いです。
赴任支度金(及び帰任支度金)については、法人税法上の損金となるかどうか(=子会社への寄付金とされるかどうか)という観点と、支度金を受け取った本人の所得となるかどうか(=所得税の課税対象となるかどうか)という2つの観点から検討する必要があります。
日本本社都合の赴任であれば、通常、寄付金とはならない
日本本社の都合による赴任で合理的な範囲の支度金であれば、日本本社の必要経費として損金に算入することができます。
いくらであれば合理的かということについて明文はありませんが、本人のみの場合で20~30万円、家族帯同の場合で30~40万円程度であれば問題にはなりにくいでしょう。
帰任支度金も同様です。日本本社の指示による帰任という理由で日本本社の損金に算入することは可能です。
ただ赴任支度金と帰任支度金の両方を日本本社負担とする場合、帰任支度金の金額は赴任支度金より少なめに設定している例があります。これは赴任時より帰任時の方が必要な費用が少ないと想定しているからです。
子会社都合の場合は子会社負担
逆に海外子会社の都合により日本本社や日本のグループ会社に赴任(または帰任)させるのであれば、支度金は子会社が負担すべきです。
子会社都合による赴任であるにもかかわらず、親会社が支度金を負担すると子会社への寄付と指摘される可能性があります。海外進出の形態も多様化していますので、このようなケースも増えているのではないでしょうか。
実費弁償的な性格であれば、本人の所得とはならない
次に赴任支度金が所得税の課税対象となるかどうかですが、本人の経済的利益になるものであれば課税、外国で日本人として尊厳ある暮らしをするための実費弁償的な性格であれば非課税とされています。
支度金は外国で生活していくための準備を整えるために必要な支出に充てるためのもので、旅費の概念のひとつと考えられています。渡し切り出張旅費や出張日当が非課税であることと同様、通常必要とされる範囲であれば非課税とされます。
ですので、役職や等級、同業他社の支給水準、家族帯同か単身か等を考慮した上で整合性のとれた支度金を支給していれば、非課税で問題ないケースが多いと思います。
一方、海外子会社が支度金を負担する場合は現地の税法に従います。日本のように旅費交通費として取り扱うことができない場合は、本人の所得として現地の所得税の課税対象となります。
実際は慎重な判断を
この記事で述べたのはあくまで一般論ですので、実際の支度金の支給に当たっては個別に慎重な判断をお願いします。
赴任支度金については、法人税の調査で子会社への寄付と指摘される可能性と、源泉所得税の調査で本人への所得と認定される可能性の2つがあります。
本人の所得とされた場合、本人から源泉税を徴収する訳にはいかないため会社が負担することが多いですが、その場合はグロスアップ計算を行うことになり、より多額の負担が生じることになります。
なお、押方移転価格会計事務所の寄付金コンサルティングでは、海外出向者関連の寄付金を防ぐための検討項目として赴任支度金についても検証させていただいております。
移転価格対応をお考えの方へ
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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