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海外子会社に給与規定は整備されているか | 押方移転価格会計事務所
- 2020.12.22
- 海外寄附金
御社の海外子会社に「給与規定」は整備されているでしょうか。
少人数の場合など作成していないこともありますが、作成しておいた方がいいということを寄附金リスクの観点から書きたいと思います。
海外出向者の給料は原則、出向先負担
海外子会社にはたいてい、日本本社からの出向者がいます。出向した結果、日本本社と海外子会社の二重の労働契約が結ばれた状態になります。
出向者は常時、海外子会社で仕事をしているのですから、給与は原則としては海外子会社が全額負担すべきです。
ですが海外子会社の規模や業績や考えると、海外子会社に全額負担させることは難しく、給与の一部を日本本社が負担していると思います。
この負担金について、説明を誤ると海外子会社への寄付と認定される可能性があります。
「海外子会社の規模が小さいから」「海外子会社の業績が厳しいから」といった説明では、子会社支援であり対価性のない支出(=寄付)として損金不算入にされてしまいます。
「給与条件の較差補てん」と説明しなければならない
日本本社が負担した給与負担金を損金処理するためには、法人税法基本通達9-2-47に定める「給与の較差補てん」であると説明することが必要です。
「出向元と出向先の給与に格差がある場合、その較差を補てんするための支出は、出向元の損金とする」という規定です。
つまり子会社を支援しているのではなく、給与の較差補てん金を支払っているだけだと説明しなければならないということです。
給与の較差であるとどうやって説明するのか
日本と現地の給与の較差が損金になりますので、現地の給与額についてしっかり説明できなければなりません。
この時に有効なものが給与規定です。
「日本本社の給与規定だと900万円、海外子会社の給与規定だと600万円。だから給与較差は300万円」と言えるように海外子会社側の給与規定を整備しておくと何かと便利です。
300万円全額を日本本社が補てんするのか、現地給料の600万円が妥当かどうかは議論の余地が残りますが、それでも給与規定がない場合とは説得力が違います。
海外赴任者と現地の方との整合が取れた給与規定を整備しておくことにより、寄付金リスクは確実に低くなるといえます。
給与規定を整備することは寄付金リスクの観点だけでなく、現地の方が安心して働けるといったメリットもあると思います。
実際に整備するとなると現地の労働法など様々な検討項目があるはずですので、何かの機会に現地の会計事務所に相談してみてはいかがでしょうか。
関連記事:給与較差補填の寄付金認定を防ぐための9つの検討項目
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