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移転価格税制は親子間で利害が対立する | 押方移転価格会計事務所

移転価格税制 利害対立

移転価格税制は親子間で利害が対立する問題です。

移転価格税制は、海外子会社との取引を独立した第三者と同等の条件で行うことを求めています。支配従属関係にある親子会社間であれば取引価格を自由に決めることができるため、国内に留まるべき利益が国外に流出してしまうことを防止することが目的です。

その趣旨自体には誰もが賛同すると思います。ですが、自分が海外子会社の社長であると仮定した場合、日本本社から突然、「あなたの会社は利益を取り過ぎです。本社の方で適正な利益を計算した結果、○○万円返金していただくことになりました。その分業績は下がりますし、あなたの評価も下がります。」 と言われたらどうでしょうか。

「何を言っているんだ!俺たちが汗水流して頑張ったからこれだけ利益が出たんだ!」と反論するのが普通ではないでしょうか。

移転価格税制はグレーな税制です。海外子会社が頑張ったから利益が出たのか、日本本社との取引価格が不適切だったから利益が出たのか誰にも明確には説明できません。だからといって完全に野放図にすると、そこを悪用する会社が出てきます。そのため一定のルールを設けて、何とか妥当な利益配分をしようとしているのです。

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移転価格だけでなく、海外子会社への寄付金も同様です。親会社から子会社を支援するために出張に行き、その実費相当分を請求しようとすると、「お金がかかるなら無理に来てもらわなくていいです。」「親会社にもメリットがある話でしょう。お金を払う必要はありません。」と突っぱねられる可能性があります。かといって請求しないと、子会社に無償支援を行ったとして寄付金認定される可能性があります。本社の経理責任者にとっては非常に頭の痛い問題です。

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海外子会社の理解を得るために社内勉強会を開催しよう

このような問題は移転価格税制や寄付金に対する社内の理解不足が根幹にあります。そこで当事務所では、移転価格税制や寄付金を取り上げた社内勉強会の開催をお勧めしています。

本社の経理責任者がリーダーシップを発揮し、本社の営業部門や子会社の社長に対して移転価格税制や寄付金についてしっかりプレゼンをするのです。追徴課税を受けてしまった場合、親会社でも税金がかかり子会社でも税金がかかるという二重課税状態になってしまいます。グループ全体で考えた場合は、大きな損失が出ることになるのです。

「営業部門単体、子会社単体で考えると確かに損だと感じるでしょう。ですが、グループ全体のことを考えてこのルールを作りました。どうかご理解下さい。」と説明して理解をしていただくに越したことはありません。

当事務所のお客様の場合は、コンサルティングのオプションとして勉強会を開催させていただいております。外部の第三者からの説明があると「コンサルもああ言ってるし、理解してね」と説得しやすくなります。

それでも納得が得られない場合は、会社としての利益の配分と、本社の営業部長や子会社社長の評価を切り分けるのもひとつの手です。営業部長や子会社の社長はグループ全体の利益よりも自部門の利益に関心がありますので、「会社としてはお金を払ってもらうけど、あなたの評価には関係ないよ」といえる仕組みを用意してあげれば反発は起きなくなります。

海外で事業展開していく以上、移転価格税制に対するある程度の知識と社内理解は必要です。経理責任者の方は、移転価格税制に関する情報収集及び社内啓蒙活動も任務のひとつと考えてかんばりましょう。

<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)

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