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寄与度利益分割法が適切な場合 | 押方移転価格会計事務所
- 2018.05.07
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移転価格税制では、複数の独立企業間価格算定方法の中から最適な方法を選択するというルールが採用されています。
その独立企業間価格算定方法のひとつに「寄与度利益分割法」という方法があります。これは親子間取引における親会社と子会社の営業利益の合計を営業利益獲得に貢献した度合で分割する方法です。
どのような場合に寄与度利益分割法が適切といえるのでしょうか。
適用できるケースは限られる
最初に、寄与度利益分割法が最適といえるケースは限られるということをお伝えしておきます。
この方法は比較対象取引を探すことなく社内のデータだけで算定できる(≒企業データーベースを必要としない)というメリットがあります。
比較対象取引を用いないからといって独立企業間原則から逸脱しているということではありません。「独立した事業者間であれば、どのように利益を配分するか」という観点から親子間の利益を分割するということです。
ですがやはり客観性に欠けるという面は否定できませんので、比較対象取引を探してくる他の方法の方がより適切という結論になることが多いです。
寄与度利益分割法が適切なケース
寄与度利益分割法が適切といえる可能性が高い例として、下記2例をご紹介します。
①寡占市場に属している場合
自社グループが寡占市場に属していて競合企業が数社しかなく、それらの企業も親子間取引しか行っていない場合、比較対象となる第三者間取引が存在しないことになります。
このような場合は、親子の合計利益を分割する寄与度利益分割法が適切といえます。
②親子の機能が高度に統合し、一体となって価値を提供している場合
親会社と子会社が一体となって顧客に価値を提供している場合、寄与度利益分割法が適切と判断される可能性があります。このような取引の例としてよく出てくるのが、「金融機関におけるデリバティブ取引などのグローバルトレーディング取引」です。
親会社と海外子会社が情報を交換しながらトレーディングを繰り返し、結果的に顧客の要望に応えるサービスを提供している場合、親と子の機能が複雑に絡み合っているためどちらか一方を検証対象とする方法は適切とはいえず、また比較対象となる取引を探し出すことも難しいため、寄与度利益分割法が適切と判断される可能性が高いです。
データベースを入手できないため採用していることもある
寄与度利益分割法が適切な場合として上記を挙げましたが、ほとんどの製造業や卸売業にはあてはまらないでしょう。
実際のところは企業データベースにコストをかけることができない場合や、他の方法ではどうしてもうまく説明できない場合の最終手段として寄与度利益分割法を採用している企業もあります。
ローカルファイルを作らないよりは移転価格リスクは低くなると思いますが、親子間利益を分割するためのファクター(人件費や減価償却費などを使う)にどうしても主観が入りますので、慎重な判断をお願いします。
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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