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課税リスクが高いかどうかの判断基準 | 押方移転価格会計事務所
- 2021.10.13
- 移転価格全般
移転価格税制は国外関連者との取引を独立企業間価格で行うことを求める税制です。
独立企業間価格よりも安く販売したり、高く購入したりした場合、その取引は独立企業間価格で行われたものとみなして法人税額の再計算を行うことになります。
移転価格税制に免税点はなく、国外関連者との取引が1円でもあれば適用対象となります。
極端な例えですが、海外子会社との取引が年間1000万円しかないとしても、独立企業間であれば3億円相当の製品を1000万円で販売したのであれば、2.9億円もの所得移転が起きていますので、明らかに移転価格上の問題があるといえます。
理論上はその通りですが、とはいえ、自社の追徴課税リスクが高いのかどうか、つまりは移転価格調査が入る可能性が高いかどうかについて、何らかの判断基準は欲しいところです。
移転価格ガイドブックの記載内容
この点について参考になる情報が、国税庁から発表された「移転価格ガイドブック」の24ページに記載されています。税務当局が移転価格調査を行う必要性があるかどうかの判断基準として、下記が例示されています。
<移転価格調査に係る調査必要度の判定(P24)>
・ 内国法人が赤字又は低い利益水準となっていないか
・ 国外関連者の利益水準が高くなっていないか
・ 国外関連者への機能・リスクの移転などの取引形態を変更している一方、それに伴い適切な対価を授受していないことや、軽課税国の国外関連者に多額の利益剰余金が存在すること等により、国外関連者に所得が移転していると想定されないか
・ 国外関連者に所得を移転させるタックスプラニングが想定されないか
・ 過去に移転価格課税を受けているにもかかわらず、当事者の利益水準等に変化が見られないなどコンプライアンスに問題が想定されないか
・ 内国法人と複数の国外関連者間で連続した取引(連鎖取引)を行い、利益配分状況や国外関連者の機能などが申告書上では解明できず、確認を要さないか
まずは確定申告書から読み取れる部分を確認し、追加資料が必要な場合はローカルファイル等の提示を求め、最終的には総合的判断で調査に入る企業を選定していると理解できます。
せっかくこのような情報が公表されているのですから、一度、ご自身が税務当局の職員になったつもりで確定申告書等をチェックしてみることをお勧めします。
関連記事:「移転価格ガイドブックには見解の相違が起きやすいポイントが記載されている」
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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