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関連者の範囲や遡及可能期間(除斥期間)は各国で異なる | 押方移転価格会計事務所

移転価格文書 テンプレート ひな形 適用対象

移転価格税制は海外にあるグループ企業との取引を、出資関係のない第三者間取引と同様の条件で行うことを求める税制です。

グループ企業だからといって特別安く販売したり、特別高く買ったりすると、利益が海外に逃げてしまうので一定の規制が必要だということです。

この「海外にあるグループ企業」のことを日本の法人税法では国外関連者といい、原則として出資比率が50%以上の国外法人のことを意味します。

そして、この国外関連者との棚卸資産取引や役務提供取引が移転価格税制の適用対象とされています。

諸外国は関連者の範囲や遡及可能年数(更正の請求期間)が日本と異なる

移転価格税制の仕組みは世界中どこでも大体同じです。国際機関であるOECDの租税委員会での決定事項を受けて、各国が自国の税制を改正してきた経緯があるからです。

とはいえ全く同じではなく、国によって多少の違いはあります。そのひとつが関連者の範囲です。

上述のように日本では出資比率50%以上の国外法人が移転価格税制の適用対象ですが、外国では国内のグループ会社に対しても移転価格税制が適用されることが多くあります。

同国内のグループ会社であっても別法人ですので、法人ごとに適切な金額を納税すべきという考え方は一理あります。

関連者となる出資比率が日本と異なる国もあります。具体的には、中国、インドネシア、ドイツ、ベトナムでは25%以上の出資関係があれば移転価格税制の適用対象となります。出資比率についての数値基準は特に設けず、実質的な支配関係があれば関連者と判断する国もあります。

日本サイドからみると移転価格税制の適用対象ではない場合でも、海外子会社サイドからみると適用対象になることがあるということです。

また移転価格調査の遡及可能期間(更正の除斥期間)も国によって異なります。日本の場合は最長7年間ですが、中国では最長10年間、アメリカでは原則3年間、インドネシアでは5年間遡及できることになっています。

日本本社がグループ全体を取りまとめるべき

移転価格税制の適用範囲やローカルファイル、マスターファイルの作成状況がどうなっているかは、日本本社が全体像を把握しておくべきです。

「海外子会社がローカルファイルを作っていたことを知らなかった」という話を聞くことがありますが、あまり望ましくはないでしょう。

これからは税務当局間の情報交換も進んできますので、親会社と子会社のローカルファイルの整合性やマスターファイルとの整合性も検討しておく必要があります。

海外子会社や現地の会計事務所からも上手に情報を収集しながら、グループ全体を俯瞰した上で的確な対応をしていきましょう。

<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)

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