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二重課税解消のための実務的ハードルはかなり高い | 押方移転価格会計事務所
- 2017.08.23
- 移転価格全般
移転価格税制は海外子会社との取引を独立企業間価格で行うことを要請する税制であり、独立企業間価格よりも安く販売したり、高く購入したりした場合は、独立企業間価格で取引したとみなして法人税額の計算を行います。
つまり日本本社から海外子会社への販売価格が独立企業間価格に1億円満たない場合は、日本において1億円の増額更正が行われるということです。
海外子会社への販売価格が1億円安かったということは、海外子会社の購入価格が1億円高かったということですので、自動的に海外子会社で1億円の減額更正が行われれば二重課税は解消されるのですが、実際はそうはなりません。
移転価格税制は国と国の税金の取り合いという面がありますので、他国の税務当局の判断を無条件で受け入れることはないのです。
二重課税解消のためには相互協議が必要
ですが二重課税解消の手立てがまったくない訳ではありません。相手国と租税条約を締結している場合は、相互協議という手続きの申請を行い、税務当局同士の話合いがまとまれば相手国で減額更正が行われます。(これを対応的調整といいます。)
そうなれば二重課税が救済されることになりますが、相互協議には2年程度の期間と多額の専門家費用がかかりますし、合意に至ることがほぼ不可能な相手国もあります。
よほど多額の追徴課税を受けた場合でなければ実効性に乏しい面があると思いますので、二重課税が最初から発生しないように移転価格ポリシーの構築や移転価格ドキュメンテーションを行っておくことが重要です。
寄付金課税の場合は相互協議はできない
役務提供取引などの場合、移転価格税制を適用するのではなく国外関連者(海外子会社)への寄付金として処理されることが多いです。
寄付金課税は日本の国内法で完結するものですので、相互協議を申し立てることはできません。日本側で否認された分を海外子会社に請求し、海外子会社側で損金になるのであれば二重課税にはならないですが、これはケースバイケースです。(実際は諦めることが多いです。)
海外進出企業は増える一方ですので、海外取引関係の税務調査も厳しくなる一方だと思います。「備えあれば憂いなし」ということで、普段から情報収集を行い必要な対策をしっかり打っておきましょう。
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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