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電子商取引と所得配分ルールの設定方法(移転価格ポリシー)の関連性 | 押方移転価格会計事務所

移転価格 電子商取引 設定方法

インターネットの普及により国境を越えたサービスの提供などが盛んに行われるようになりました。海外向けデジタルコンテンツの販売などが一例です。

物理的な拠点が必要な製造業とは違って、電子商取引は実体の捕捉が難しく、租税回避と受け取れる取引を行うことも比較的容易です。

OECDのBEPSプロジェクトにおいても電子経済下における租税回避の防止について検討されました。その結果、電子商取引だけを独立した論点と考えるのではなく、CFC税制(タックスヘイブン対策税制)や移転価格税制、過少資本税制等の各ルールにおいて、電子商取引も考慮に入れた上で議論を深めていくことになりました。

電子商取引と移転価格税制

電子商取引と移転価格税制との接点を考えてみますと、棚卸資産取引よりも役務提供取引や金銭貸借取引、無形資産取引との結びつきの方が強いといえそうです。

低税率国にある関連者がグループ全体の基幹業務を請け負っているような場合、役務提供料やシステムのライセンス料が高すぎると、支払っている側の税務当局が租税回避を疑う可能性があります。

またグループ企業が一体となって高度なITサービスを提供している場合は、対価(サービスフィー)をグループ間でどのように配分するのかも移転価格上の問題となり得ます。

IT技術の開発に貢献した割合で合計利益を按分することも選択肢のひとつかもしれませんが、分割ファクターについて見解の相違が起きる可能性が高く、実効性には課題が残ります。

高度に発達した電子商取引についてどのように移転価格ポリシーを設定するかは、今後さらなる議論が必要な部分です。

フィンテックと移転価格税制

IT技術を活用した金融サービス(フィンテック)についても移転価格上の問題が生じる可能性が高いです。

形式的には低税率国にあるグループ会社がフィンテックを使った金融サービスを提供しているが、実質的には他国の関連者がコントロールしている場合、サービスフィー(役務提供取引)や利息の受け払い等(金銭貸借取引)ついて、帰属先をどこにすべきかという問題が生じ得ます。

今後は仮想通貨による決済サービスなども普及していきますので、そのような事例は増える一方でしょう。

今後の税制改正に注目

国際間の電子商取引は移転価格税制だけでなく、CFC税制、過少資本税制、過大利子税制、PE課税の見直し、消費税など多岐にわたる税制、税目に関係する論点です。

近年、このあたりのルールが一気に整備されてきていますので、自社が関係しそうな部分についてはキャッチアップを怠らないようにしましょう。

<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)

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