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合弁設立の海外子会社との取引 | 押方移転価格会計事務所
- 2023.01.18
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50%ずつ出資して設立した海外子会社から商品を高値で購入せざるを得ないケースがありました。合弁パートナーが独占販売権を持っている商品だったためです。
その結果、合弁子会社の営業利益率は取引単位営業利益法では説明が難しいほど高くなっていたのですが、合弁設立子会社との取引に関する移転価格税制上の取り扱いはどうなっているのでしょうか。
合弁設立子会社も国外関連者
まず確認しておくことは、合弁設立子会社との取引も移転価格税制の適用対象ということです。
国外関連者の定義は出資比率50%「以上」ですので、ちょうど50%出資の合弁子会社も国外関連者に該当するからです。
合弁設立子会社の場合、支配しているとは限らない
移転価格税制のそもそもの趣旨は、支配力を持つ海外子会社との取引価格を恣意的にコントロールすることによる自国の税収減を防ぐことです。
ところが合弁設立の海外子会社の場合は、もう一方の出資者との関係上、取引価格を自由にコントロールできないことがあります。
これについては、移転価格事務運営要領3-2(3)において、次の考慮規定が設けられています。
「国外関連取引に係る対価の額が当該国外関連取引に係る取引条件等の交渉において決定された過程等について、次の点も考慮の上、十分検討する。
ロ 法人又は国外関連者が複数の者の共同出資により設立されたものである場合には、その出資者など国外関連取引の当事者以外の者が当該国外関連取引に係る取引条件等の交渉の当事者となる場合があること。また、当該交渉において独立企業原則を考慮した交渉が行われる場合があること。」
しかしながら同時に、
「(注) 国外関連取引に係る対価の額が厳しい価格交渉によって決定されたという事実、国外関連取引の当事者以外の者が当該国外関連取引に係る取引条件等の交渉の当事者となっている事実又は国外関連取引に係る契約の当事者に法人及び国外関連者以外の者が含まれているという事実のみでは、当該国外関連取引が非関連者間取引と同様の条件で行われた根拠とはならないことに留意する。」
という注意書きもあります。
結局は実質判断
合弁設立の場合は独立企業間と同様の交渉が行われる可能性があることには留意するが、形式ではなく、取引の実質的な中身を検討するということです。
結局のところ、合弁子会社との取引が独立企業間と同様であることを十分なエビデンスをもって説明できるかどうかにかかっています。
もう一方の出資者が独占販売権を持っていることを示す契約書などを用意し、形式としては子会社だが実質的には独立事業者間の取引だと主張するということです。
50%出資子会社との取引に対する更正事例も複数ありますので、説得力のある抗弁ができるか確認しておきましょう。
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