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「これだけは知っておこう!」移転価格の基礎講座(前編) | 押方移転価格会計事務所

今回と次回の2回に分けて、移転価格税制の基礎についてお伝えします。

そもそも移転価格税制とは?

移転価格税制とは、一言でいうと「身内びいきをしてはいけない」という税制です。

海外子会社と取引をする時に子会社だからといって特別プライスで販売すると、日本本社の利益が少なくなり税収も減りますので、それは認めないというルールです。

通常は100万円で販売している製品を、海外子会社には30万円で販売したとします。そうすると日本本社の利益が70万円少なくなりますので、法人税の金額も少なくなります。

それは困りますので移転価格税制を適用し、あるべき価格(今回の場合は100万円)で販売したものとみなして法人税の再計算を行うことになります。

あるべき価格とは?

ではこの「あるべき価格」はどのようにして求めるのでしょうか。

このあるべき価格のことを移転価格税制では、独立企業間価格(Arm’s Length Price ALP)といいます。

つまり資本関係のない第三者間取引において採用される価格で海外子会社とも取引をしなさいということです。

そして独立企業間価格で取引を行っていることは、口頭ではなく、一定の文書(移転価格文書)を用意しておいて税務調査時に提出することになっています。

具体的な独立企業間価格算定方法については次回説明したいと思います。

文書がない場合はどうなる?

では、移転価格文書の用意がない場合はどうなるのでしょうか。

「文書はありませんが、まあ、妥当な価格で販売してますよ」

で済むのであれば、文書を用意している企業との間で不平等が生じます。

そのため移転価格文書の用意がない企業に対しては、同業他社にヒアリングしたり、企業データべースを用いたりして、あるべき利益を推定して課税することが認められています。(これを推定課税といいます)

そして移転価格税制においては、7年間さかのぼって追徴することができますので、多額の追徴になってしまうことが多くなります。

これまで移転価格調査は大企業に対して行われるというイメージでしたが、近年は調査対象が中堅企業にシフトしてきています。過去に痛い目をみた大企業が移転価格対策をしっかり固めてしまったためです。

中堅企業のみなさんも、他人事とは思わずに移転価格対策を始めましょう。

関連記事:「これだけは知っておこう!」移転価格の基礎講座(後編)

<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)

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