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販売面の無形資産の使用料(販売ロイヤリティ)も考えておこう | 押方移転価格会計事務所
- 2021.08.03
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ロイヤリティといえば製造ロイヤリティのことを思い浮かべる方が多いと思います。
一方、販売ロイヤリティというものも存在します。販売上の無形資産の使用料という意味です。「ライセンス料」と言う方がわかりやすいでしょうか。
租税特別措置法においては、次に揚げるものが販売面の無形資産となり得るとされています。
- 顧客リスト及び販売網
- 営業上の秘密
- 商号及びブランド
- 契約上の権利(上記を除く)
この中で最もわかりやすいのは「ブランド」でしょう。
服飾品や化粧品などの小売業において顕著ですが、日本本社が熱心にマーケティング活動を行ってブランド力を高めたのですから、海外子会社がそのブランドを使用する際には商標使用料(ライセンスフィー)を徴収するということです。
製造業でもブランド使用料を受け取るケースはあります。
日本本社が商標登録している製品名が業界内で広く認知されており、それが海外子会社の販売活動に大きなプラスとなるのであれば、日本本社にブランド使用料を支払うべきといえます。
自動車部品や電子部品などの中間財にはあまりないのかもしれませんが、比較的小さな市場で高いシェアをとっている最終消費財にこのようなケースが見受けられます。
本社で形成されるとは限らない
この販売上の無形資産は必ずしも本社サイドで構築されるとは限りません。
海外子会社の営業努力で大きな取引先を獲得した場合や、独占販売契約を締結した場合などは海外子会社に販売上の無形資産があると認定すべきかもしれません。
この場合、日本本社に無形資産がないのであれば、無形資産の使用による超過利益は全額海外子会社に帰属すべきです。
これは「海外子会社は営業活動を一生懸命がんばった」というレベルではダメです。比較対象となる企業も同様にがんばっているからです。 「これは無形資産だ」といえるほどの大きな成果が必要です。
1人で無形資産を構築?
当事務所にあったご相談に、中国子会社の社長として、その中国子会社の最大取引先の社長を引き抜いて迎え入れた例がありました。
新社長は古巣に影響力を発揮して、発注の大部分を中国子会社に切り替えました。その結果、中国子会社は異常なほど儲かるようになりました。
このケースでは中国子会社の利益率が高くても、日本本社から所得移転があったとは言い難いでしょう。日本本社は引き抜きをしただけだからです。
新社長が持っていた「顧客リスト・販売網」や「営業上の秘密」が無形資産であり、それを最大限に活用して中国子会社が自力で高い利益を出したと捉える方が妥当です。
ただあまりにも強烈なその社長を日本本社もコントロールできず、ほどなく退任したため、平和な利益水準に戻りました。
1人で無形資産を構築することはない、とは言い切れないようです。
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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