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適正価格は第三者間取引との比較によって算出する | 押方移転価格会計事務所

移転価格 正しい

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移転価格税制は海外子会社と適正価格で取引することを求める税制ですが、製品や商品をみて、「この製品の販売価格は25000円が適正である」とは誰にも決められません。それは税務当局であっても同じです。

そこで移転価格税制では独立した第三者間で成立している取引と比較するというアプローチで取引価格の妥当性を検証します。つまり何かと比較することによって「相対的な価格」=「相場」を求めているのです。

そしてその「比較の仕方」にいくつかのパターンがあって、それぞれが次に挙げる独立企業間価格算定方法として認められています。

「第三者間取引との比較」によって取引価格の妥当性を検証する

親子間貿易を行っている製品(商品)と同種の製品の第三者間取引と、取引価格そのものを比較する方法が独立価格比準法です。独立企業間価格を直接的に算定する方法ですので、最も信頼度が高い方法とされています。

取引価格そのものを比較できない場合は、粗利益率(売上総利益率)の比較対象取引を探します。原価にオンしているマークアップ率の比較対象取引を探す方法が原価基準法で、親子間取引の買い手が第三者に再販売(転売)する時の利益率(口銭)について比較対象取引を探す方法が再販売価格基準法です。

これらも高い信頼度を持った計算方法ですが、扱っている製品(商品)の類似性に加えて、親子会社それぞれの機能やリスクについても高い類似性が求められますので、比較対象取引を見つけることは難しいです。

もうひとつの方法は、営業利益率ベースで比較対象取引を探す取引単位営業利益法です。親子のうち、シンプルな役割を果たしている方(通常は子会社)の比較対象企業の営業利益率と比較する方法です。

営業利益率で検証する場合、「粗利は高いが、その分販売コストがかかる」「粗利は低いが、販売コストはほとんどかからない」といった経費のかかり具合による調整が入った後の営業理系率で比較するため、上述の方法よりも比較対象取引が見つけやすいという特徴があります。

親子の合計利益を分割する方法もある

親子の合計利益を何らかの分割ファクターで按分する方法も認められています。利益分割法という方法で、「独立企業間であればどのように利益を配分するか」という観点から親子それぞれのあるべき利益水準を算定します。利益分割法は、計算方法により次の3パターンに細分化されます。

寡占業界に属していて比較対象取引がない場合や、親子の機能リスクが高度に統合されたグローバルトレーディングなどを行っている場合は、収益への連動性が高いと考えられる分割ファクター(人件費など)で合計利益を分割する方法(寄与度利益分割法)が考えられます。

親子ともに重要な無形資産を保有している場合は、無形資産の構築に要した費用(研究開発費など)の比率で両者の利益を分割する方法(残余利益分割法)も認められています。

親子の合計利益の配分割合を第三者間取引から見つけてくることができる場合は、その割合で合計利益を按分することも認められています(比較利益分割法)。ですが、そのような取引を見つけることは非常に困難と思われます。

利益分割法は、分割ファクターをどのように設定するかという議論に終始します。分割ファクターしだいで利益が大きく変動するからです。親会社、子会社、両国の税務当局の全員が満足いく分割ファクターを決めることは難しいため、経営判断が求められる部分です。

難解な計算を行っている訳ではない

「絶対的に正しい価格」を決めることは誰にもできませんので、上記のようなアプローチを使って、適正価格かどうかを検証するしかないということです。おわかりの通り、何か難しい数学や統計学のようなものを使っている訳ではありませんので、特別なスキルや能力がなくても移転価格税制に対応することは十分可能です。

ビジネス環境が国際化していく中で、移転価格税制への対応も素養のひとつといえる時代になってきています。当事務所のセミナー無料メールマガジンも活用していただいて、移転価格税制に対する不安や課題を解消していって欲しいと思います。

<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)

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