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取引額が小さい場合は移転価格税制の適用免除になるのか | 押方移転価格会計事務所
- 2019.04.20
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移転価格税制は海外子会社との取引を資本関係のない第三者と同じ条件で行うことを求める税制ですが、取引額についての免税点はありません。
「50億円」という基準を聞いたことがある方もいると思いますが、これはローカルファイルを確定申告期限までに作成する義務があるかどうかの基準です。
取引額が50億円未満であっても、調査官からローカルファイルの提出を求められた時は60日以内の指定された日までに提出しなければなりません。
提出できなかった場合は、当局が独自に独立企業間価格を算定して、税金の再計算を行う推定課税の適用を免れることはできません。
例えば資本関係のない第三者に3億円で販売している商品を海外子会社に1億円で販売したとすると、2億円もの所得移転が起きていることになります。
極端な例えですが、この場合に海外子会社との取引額が1億円しかないからといって移転価格税制の適用免除になるはずがないということです。
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年間数億円の取引があれば移転価格税制について検討が必要
国税庁からの発表によると、移転価格課税による追徴税額の平均は6千万円~3億円程度で推移しています。
移転価格税制では最長7年さかのぼることができますので、海外子会社との取引額が年間数億円もあれば、この程度の追徴になることは十分あり得ます。
移転価格分析を行い、海外子会社と独立企業間価格で取引していると説明がつくかどうか、説明がつかないのであれば取引価格の変更等の対策を考える必要があります。
取引価格の変更は複数の部門にまたがる大きな話ですので時間がかかります。税務調査はすぐには来ないかもしれませんが、対策に要する期間を考えると先手を打って対策を始めておくことが重要です。
実務上は会社判断
移転価格税制に免税点はないのですが、費用対効果の面もありますので、どの海外子会社との取引について対策をするかは会社判断になります。
取引額の大きい海外子会社や利益率が高い海外子会社など移転価格リスクが高いと思われる会社から対策を始め、徐々に対象を広げていくという方法が現実的だと思います。
「ウチは海外子会社との取引が50億円もないから移転価格は関係ない」という勘違いだけはないようにしましょう。
関連記事⇒同時文書化義務とは
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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