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金融取引などの棚卸資産以外の取引も移転価格税制の対象 | 押方移転価格会計事務所
- 2017.06.23
- 移転価格全般
移転価格税制は国外関連者との取引を独立企業間価格で行うことを要請する税制です。国外関連者とは基本的には出資比率50%以上の外国法人のことです。
関連者間での取引を恣意的にコントロールすることにより、自国に帰属すべき利益が国外に流出することを防止することが目的ですので、「身内びいき防止税制」と表現するとわかりやすいと思います。
移転価格税制の対象となる取引
「移転価格税制」ときくと商品や製品の販売取引、つまり棚卸資産取引をイメージすると思います。ですが実際は棚卸資産以外の取引も移転価格税制の適用対象であり、それらの取引も独立企業間価格で行う必要があります。
具体的には下記の取引が該当します。
1.サービスの提供
海外子会社に出張して技術指導を行ったり、海外子会社の経理業務を受託するといったサービスの提供はグループ内役務提供といい、移転価格税制の適用対象となります。グループ内役務提供の対価の額を恣意的にコントロールすることにより、税負担を不当に少なくすることは問題があるということです。
2.ノウハウの提供やライセンスの付与
日本本社が保有する製造ノウハウや特許技術、ブランド名称等(無形資産といいます)を海外子会社に使用させている場合、それらの使用料(ロイヤリティー)を回収することを無形資産取引といい、こちらも移転価格税制の適用対象となります。
資本関係のない第三者に無形資産を無償で使用させることは考えにくいため、独立企業間で成立するであろう対価の額を回収する必要があるということです。
上記1のグループ内役務提供と混同しがちですが、無形資産取引は一種の権利収入であり別種の取引です。役務提供取引と無形資産取引を同時に提供している場合は、それぞれについて適切な金額を回収しているかを検証することが必要です。
3.親子ローンの金利
海外子会社に貸し付けを行っている場合は利息を回収する必要があり、この取引も移転価格税制の適用対象となります。通常、独立企業間でお金を無利息で借りることはできませんので、親子であっても独立企業間で成立するであろう金利のやり取りが必要ということです。
移転価格事務運営要領を読んでおこう
上記の項目について税務調査を行う時に、調査官が守らなければならないルールとして移転価格事務運営要領があります。調査官が守るということは、間接的に企業も守らなければならないルールといえますので、一度は確認されることをお勧めします。
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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