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所得移転の蓋然性と更正事由の特定 | 押方移転価格会計事務所
- 2017.09.01
- 移転価格全般
移転価格税制の執行にあたって各国の税務当局は、「所得移転の蓋然性」と「更正事由の特定」の2つの視点から更正を行うかどうかを判断しています。
所得移転の蓋然性とは、決算書や申告書といったデータから関連者への所得移転が起きているかどうかの「あたり」をつけることです。例えば法人税申告書の別表十七(四)をみて、海外子会社の利益率が平均的水準よりも大幅に高い場合は所得移転の蓋然性があるといえます。
更正事由の特定とは、関連者間取引の内容を精査することによって所得移転の有無を直接的に証明することです。海外子会社に対し非常に低い利益率で販売しており、その結果として海外子会社が高い利益率になっていることが具体的数値によって証明された場合は、更正事由の特定が行われたことになります。
日本の税務当局は「更正事由の特定」を重視している
「所得移転の蓋然性」と「更正事由の特定」はどの国の税務当局も考慮するものですが、どちらをより重視するかは国によって変わってきます。
所得移転の蓋然性は、業界の平均的な利益水準とのかい離を検証するものですので、一種の統計的手法といえます。アメリカや中国の税務当局は、自国企業の利益率が比較対象企業と比べて低いことの理由を中心的に議論しますので、所得移転の蓋然性を重視しています。
一方、日本の税務当局は、統計的手法ではなく、具体的な価格設定方法に問題がないかを精査するというスタンスですので更正事由の特定をより重視しています。
つまり日本サイドの移転価格対策としては、「四分位レンジに収まっている問題ない」と直ちに判断するのではなく、関連者間取引の事実関係を正確に把握し、所得移転が起きていないことを具体的かつ論理的に説明できるかどうかが重要だということです。
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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