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税務上の自己否認をすると海外子会社の本当の業績がみえなくなる | 押方移転価格会計事務所
- 2021.05.12
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海外子会社の業績が悪い場合、日本本社は何とか支援できないかと画策することが多くなります。
対外的に説明しづらい事情もあるでしょうし、監査法人から子会社株式の帳簿価額を減損しろと言われるのも面倒な話ですので気持ちはよくわかります。
しかしその結果、本来は子会社が負担すべき費用を日本本社が負担すると、税務調査において国外関連者への寄付と認定されることになります。
そのため税務調査で指摘される前に、自己否認という形で子会社支援分を自ら寄付金として処理する企業もあります。
表面上は黒字でも実態は赤字
寄付金扱いしてしまえば税務リスクはなくなります。
しかしそうすると、海外子会社は本来負担すべき費用を負担しないことになりますので、表面上は黒字でも実態は赤字ということになります。
この話の怖ろしいところは、表面上の数字で社内も社外も回るということです。つまり実力値として黒字だったという認識が社内外に浸透するということです。
これは時間が経てば経つほどそうなります。海外子会社の3年前の決算書が黒字であれば、親会社が自己否認した金額など忘れて「3年前は黒字だった」と皆が思うでしょう。
政策的な判断が必要
状況は企業によってそれぞれですので、自己否認が一概に悪いとは思いません。
海外子会社の社員も赤字企業のままでいるよりは、「自分たちの力で黒字になった。好業績になった」と思える方がモチベーションも上がるでしょう。
これは税務リスクという観点ではなく、経営者的な大局観についての話です。
移転価格・海外寄付金対応には個別の項目を右か左かと判断する「虫の目」と、全体を俯瞰して総合判断をする「鳥の目」の両方が必要です。
財務や経営計画、予算に携わる人は全体を見渡す必要がありますので「鳥の目」が養われますが、純粋な「経理」の人は「虫の目」は得意な一方、「鳥の目」は少し苦手かもしれません。
細かい処理を正確に行う「虫の目」も重要ですが、移転価格・寄付金がからむところは、「鳥の目」による大局的な判断も混ぜ込む必要があると思います。
関連記事:「戦略的自己否認によって寄付金リスクを避けるのもひとつの選択肢」
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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