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子会社貸付金の利率に優先順位がある理由 | 押方移転価格会計事務所
- 2019.05.21
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海外子会社に資金の貸し付けを行う場合は適切な金利を受け取る必要があります。
通常の独立事業者間取引においては、無利息でお金を借りることはできません。
海外子会社との取引を独立事業者間と同様の条件で行うことを求めるルールが移転価格税制ですので、親子ローンの場合であっても金利のやり取りが必要になります。
この時に設定する利率については移転価格事務運営要領に定めがあります。
日本本社が海外子会社に貸し付けるケースで考えると、
①海外子会社が銀行から借りると仮定した場合の利率
②日本本社が銀行から借りると仮定した場合の利率
③国債等で運用した場合の利回り
のいずれかを適用することになります。
これらは全て独立企業間価格といえる利率です。
銀行とは独立第三者同士ですので銀行が提示する利率は独立企業間価格ですし、国債の発行者と購入者も独立第三者同士だからです。
ですが、この中にも優先順位があり、①⇒②⇒③の順に適用可能性を検証することになっています。
理由は独立企業間価格としての証明力に差があるからです。
内部比較は外部比較より証明力が強い
上記①と②は海外子会社または日本本社と銀行との取引を比較対象として親子間のローン利率を決めていますので内部比較です。
それに対して③は証券市場で成立している取引、つまり第三者同士の取引を比較対象としていますので外部比較となります。
内部比較は外部比較よりも証明力が強いため、③よりも①や②を優先することになります。
そして①と②の優先順位ですが、今回のケースでは資金を借りるのは海外子会社ですので、海外子会社が銀行から借りた場合の利率を優先します。
金利は企業の信用力によって異なるため、借り手に適用される利率の方がより適切ということです。
あまりないと思いますが、海外子会社から日本本社が借りる場合は日本本社が銀行から借りたと仮定した場合の利率が最優先となります。
金融取引は棚卸資産取引などと比べて比較対象取引を見つけやすいので、割とわかりやすいルールが作られています。
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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