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海外子会社の営業利益率が高い場合の計算方法(残余利益分割法) | 押方移転価格会計事務所
- 2016.12.09
- 移転価格全般
「海外子会社の営業利益率が高い場合はどのように独立企業間価格を算定すればいいのですか」というご質問をいただきましたので、お答えしたいと思います。
日本本社、海外子会社ともに営業利益率が非常に高い場合は、取引単位営業利益法(TNMM)を使うことが難しくなります。取引単位営業利益法は親会社と子会社のうち、基本的な活動のみを行っている側の営業利益率を、比較対象企業の営業利益率と比較する方法です。
営業利益率が非常に高いということは、基本的な活動+αを行っているということですので、このような場合は取引単位営業利益法を採用することはできないのです。
基本的活動による利益控除後の残余利益を按分する方法
親子ともに利益率が高いという状況を移転価格税制に則した言い方をすれば、「親子ともに重要な無形資産を保有している」ということになります。
このような場合は、利益分割法のひとつである残余利益分割法について検討することになります。
残余利益分割法の計算は2ステップで行われます。
ステップ1 基本的活動による利益を確保する
親会社、子会社それぞれの比較対象企業を選定し、基本的活動を行うことによる利益を先に確保します。
親会社、子会社ともに営業利益率が10%で、親会社の比較対象企業の平均営業利益率が5%、子会社の比較対象企業の平均営業利益率が4%の場合、それぞれ5%分、4%分は自社の利益として先に確定してしまうということです。
ステップ2 残った利益の合計を何らかの分割ファクターで按分する
基本的活動による利益を受け取った後に残った利益(=無形資産を使用することによって得た超過利益部分)の合計を、研究開発費や販管費などの超過利益獲得に貢献した割合で按分します。
超過利益が100で、親会社と子会社の貢献割合が7:3の場合、親会社は70、子会社は30の利益を受け取ることになります。
分割ファクターを何にするのかが問題
利益分割法は分割ファクターをどのように設定するかによって金額が大きく変わります。絶対的な基準を定めることはできませんので、親子間同士、あるいは両国の税務当局との見解の相違が生まれやすいところです。話がつかない場合は、二重課税になってしまうこともあり得ます。
取引単位営業利益法より手間もかかる方法ですが、親子ともに利益率が高いからこそ、このような計算が必要になる訳ですので贅沢な悩みといえるかもしれません。
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