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事業部(セグメント)とデータベースの産業分類は別問題 | 押方移転価格会計事務所
- 2017.06.19
- 移転価格全般
移転価格税制は関連者間取引を独立企業間価格で行うことを求める税制です。独立企業間価格とは資本関係のない第三者間取引で成立する価格という意味であり、関連者間取引と十分な比較可能性を持った第三者間取引を探してきて、両者を比較するというアプローチを取っています。
ですが取引価格そのものについて第三者間取引を探してくることは難しいため、多くの場合は、海外子会社の比較対象企業をデータベースから探してきて、その営業利益率と海外子会社の営業利益率を比較するという方法が採用されています。
データベースは産業分類別に収録されている
移転価格分析に用いるデータベースですが、これは世界中の信用調査会社(日本の帝國データバンク社など)から購入した企業の財務データをひとつのデータベースに収録したものです。
このデータベースに地域や業種によるソートをかけることにより、段階的に比較対象企業を探していくことになります。
関連者間取引を行っている商品・製品と同種または類似の商品・製品を扱っている企業の営業利益率を探すことになるのですが、ここで留意が必要なことは、企業の事業区分(セグメント区分)とデータベース上の産業分類が必ずしも一致しないということです。
企業側は何らかの理由があって、「A事業部」「B事業部」、あるいは「Cセグメント」「Dセグメント」というような区分をしています。管理会計をその区分に合わせている企業も多いと思います。
ですがそれはあくまでも会社の内部管理であって、必ずしもデータベース上の区分とは一致しません。例えば「自動車部品事業部」がある企業の比較対象企業を探す際に、データベース上は「自動車部品製造業」ではなく「ゴム製品製造業」を使う方が適切ということもあり得ます。
これはゴム製品を作っている企業が、販売先によって事業部を「自動車部品事業部」と「家電事業部」と区分していたとしても、製品自体が全般的にゴム製品のカテゴリーであれば、どちらの事業部の取引であろうとデータベースは「ゴム製品製造業」を使った方がいい場合もあるという意味です。
比較対象企業を選定するノウハウを身につけよう
比較対象企業の選定には会社の判断が必要です。「海外子会社と明らかに瓜二つ」という企業は滅多にありませんので、データベースをみながら試行錯誤をして、一定の比較可能性を有する企業を選定するノウハウを身につける必要があります。
逆に言えば、比較対象企業の選定について絶対的な答えはありませんので、企業サイドが一定のロジックの上に選定したものであれば、それを否定するに足る十分な理由を見つけることは難しいともいえます。
先手必勝ではありませんが、比較対象企業の選定を含め、企業サイドが率先して移転価格対応に取り組むことが重要だと思います。
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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