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役割の小さいところから固めていく | 押方移転価格会計事務所
- 2022.08.17
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独立企業間価格を言葉通りに解釈すると、「独立した第三者同士でも成立し得る価格」ですが、「各関連者の役割に応じた利益水準になる価格」と意訳した方が、より実践的かもしれません。
「役割」は、機能とリスクの負担関係、そして無形資産の帰属先を分析することによって判断します。
例えば一口に「商社機能を有している」といっても中身、程度は様々です。
国内企業の注文に応じて輸入代行サービスを提供しているだけでも商社機能といえばそうですし、海外メーカーから販売ライセンスを取得し、営業マンを抱えて在庫リスクを負いながら国内企業に売り込むのも商社機能です。
前者と後者では役割がまったく違いますが、第三者同士の取引では交渉の過程で役割に応じた価格水準に落ち着くことが予想されます。
前者の場合はせいぜい「輸入事務手数料見合い」の利益しか取れないでしょう。高ければ他に頼むからです。他方、後者の場合は、商材によっては大きな利益が取れるかもしれません。
各関連者の役割を把握する
このような第三者同士では当然起こる価格決定のメカニズムがグループ間取引の場合には作用せず、各々の役割を無視した価格になることがあります。
それに待ったをかけるのが移転価格税制です。
ですのでこの税制に対応するためには、まずは関連者間取引全体を正確に描写することが重要です。
3社以上の関連者がからむこともありますので、個々の関連者の役割をていねいに分析しましょう。
役割が小さい関連者の利益率は決めやすい
その上で各取引の値決めを行うことになりますが、コツは役割の小さいところから固めることです。
先ほどの輸入事務代行業者のように、役割が小さな仕事ほど「低利益率保証」に近くなります。
役割の小さな仕事で大儲けするのは不自然ですし、かといって赤字が続くのも不自然です。そのためコストに少しの利益をのせて売っておけば、第三者間取引でも成立し得る価格と言いやすいのです。
まず役割が小さい関連者の値決めを行い、次に役割が中程度の関連者にある程度のリターンとリスクを負わせ、残りはそれが利益であっても損失であっても、役割が大きなところ(普通は日本本社)に帰属させるという整理になることが多いでしょう。
「役割に応じた利益水準になっているか」という視点を持つようにしましょう。
<この記事を書いた人>
押方移転価格会計事務所 押方新一(公認会計士・税理士)
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